焦っているときや緊張をしているときに、深呼吸をして心を落ち着かせた経験はありませんか。日常生活の中で、自分自身の呼吸を意識することはないかもしれませんが、呼吸は心の動きと深い関わりがあります。呼吸は時間や場所を選ばずにできる1番簡単なリラックス法です。しかし、ただ深く呼吸をするだけではリラックスすることはできません。心がリラックスする呼吸法をマスターして、日常生活の中に取り入れてみましょう。呼吸とリラックス自律神経は私たちが意識しなくても、体温調節や食べ物の消化などを行ってくれる神経のことです。自律神経は基本的にコントロールすることはできませんが、自分の意志でコントロールができる唯一の方法が呼吸なのです。ストレスや不安を感じているときは浅くて早い呼吸となり、落ち着いているときはゆっくりとした呼吸になります。意識して呼吸をすることで、自律神経の調整ができるようになり、心がリラックスすることができるのです。リラックスした状態を保つために、意識的に自律神経を整える呼吸法を練習することが大切です。リラックスできる呼吸法とは?リラックスをするためには、『腹式呼吸』を取り入れた深呼吸をすることです。大自然の中など、おいしい空気の場所に行ったときに、手を広げて思いっきり息を吸うのは腹式呼吸ではありません。『胸式呼吸』と呼ばれ、普段の呼吸や運動をするときにも行っている胸を膨らませたりへこませたりして行う呼吸法です。一方、腹式呼吸はお腹を膨らませたりへこませたりして行う呼吸法です。腹式呼吸は自律神経を刺激することができ、副交感神経に働きかけ、心をリラックスさせることができます。腹式呼吸を習慣化すれば、安眠することができたり、緊張しているときは、心を落ち着かせ、冷静に対処することができるようになります。リラックス効果の他にも、免疫力向上や便通改善、代謝アップなどの嬉しい効果がたくさんあります。胸ではなくお腹を使って行う腹式呼吸を意識することで、心をリラックスさせることができます。腹式呼吸のやり方腹式呼吸は、日常生活の中でストレスを感じたときや緊張をしたときに行うのも良いですが、朝起きてすぐや夜寝る前など時間を決め、習慣的に行うことで効果を感じやすくなります。①体の力を抜き、おへその5cm下あたりに手をあてます。 立って行うこともできますが、座って行った方が効果的です。②口をすぼめて、お腹をへこませながらゆっくりと時間をかけて息を吐きます。 お腹の中の空気を全部吐き切るイメージで、6秒ほどかけて行いましょう。③1秒ほど息を止めます。④お腹を膨らませながら、鼻から大きく息を吸います。 お腹に空気を入れることをイメージしながら、3秒ほどかけて行います。⑤3秒ほど息を止めた後、2〜4を繰り返します。5〜10分ほど行い、呼吸に合わせて体が緊張から解き放たれるのを意識することでリラックス効果が高まります。秒数は無理のない範囲で大丈夫ですが、息を吐くときは、息を吸う2倍の時間をかけることがポイントです。最初はうまくできないかもしれませんが、仰向けに寝て、お腹に手をあてて行うとコツをつかむことができるので、試してみましょう!なぜ腹式呼吸はリラックスできる?腹式呼吸は、息を吸う方を意識してしまいがちですが、ゆっくりと時間をかけて息を吐くことから始めるのがポイントです。最初にゆっくりと息を吐き切ると、内臓が詰まっているお腹のスペースが小さくなります。スペースが小さくなると、血管が圧迫されて、血液が心臓に戻ってこれなくなり、血液を流すために交感神経が働き始めます。その後、お腹をゆるめて息を吸うことで、交感神経の働きで一気に血液が心臓に戻ってきます。すると、体が慌てて副交感神経を活発化させてバランスをとろうとし、副交感神経の働きが強まっていき、リラックスすることができるのです。始めにしっかりと息を吐き切ることが重要ですので、意識して行うようにしましょう!リラックスできる呼吸法は他にも!腹式呼吸が1番簡単に行える基本の呼吸法ですが、その他にもリラックスできる呼吸法はあります。どれも簡単に行うことができますので、腹式呼吸に慣れてきたら、他の呼吸法も試してみましょう!478呼吸法アリゾナ大学のアンドルー・ワイル医学博士が発案した呼吸法です。夜中に目が覚めてしまったときに、もう一度眠るために編み出した呼吸法だそうです。【やり方】①楽な姿勢で座るか、仰向けに寝ます。②「ふうー」と音をたてながら息を完全に吐き切ります。③鼻で大きく息を吸い、4秒数えます。④息を止めて、7秒数えます。⑤口からゆっくりと息を吐き、8秒数えます。⑥2〜4を繰り返します。【ポイント】安眠効果があるので、寝る前に習慣的に行うのが効果的です。正しく行えていないと、過呼吸のような状態に陥ってしまう危険性があります。慣れるまでは1日4回までにし、慣れたら1日8回程度行いましょう!※ワイル博士のグレイスフルデイズ『ストレスや不安の軽減、リラクセーションの促進に効果的 「癒しの呼吸法」』片鼻呼吸法ヨガの伝統的な呼吸法です。リラックスするだけでなく、気持ちを高め、やる気や集中力をアップする効果もあります。【やり方】①姿勢を正し、両方の鼻で3回深呼吸をします。②手で両方の鼻をつまんで口を閉じます。③右の鼻の指を離し、右の鼻で4秒かけて吸い、4秒かけて吐きます。④右の鼻の指を戻し一瞬息を止めます。⑤左の鼻も右と同じように行います。⑥2〜5を20回ほど繰り返します。【ポイント】片鼻ずつ呼吸を行うことで、左右のバランスを整え、自律神経のバランスを整えることができます。朝起きて頭がすっきりとしないときに行うと、効果的です。鼻づまりの時や鼻の通りが悪いと感じるときは、無理せず行うようにしましょう。ウジャイ呼吸法ヨガの呼吸法の1つで、勝利の呼吸法とも呼ばれています。ウジャイとはサンスクリット語で上昇と成功をいう意味だそうです。【やり方】①椅子に座るか、床にあぐらをかき、背筋を伸ばします。②鼻からゆっくりと息を吸えなくなるまで吸います。③口から息で窓ガラスを曇らせるような感覚で、「はぁー」と声を出しながらゆっくりと息を吐きます。④口を閉じて、ゆっくりと鼻から息を吸います。⑤鼻から息をゆっくりと吐き出します。⑥1〜5を5回ほど繰り返します。【ポイント】深い呼吸で体を温めて、自律神経を整えることができます。呼吸音を耳で聴きながら行うようにしましょう。慣れてくると、体が温まっているのを実感できるようになってきます。呼吸法をマスターして心をリラックスさせようストレスや不安を感じた時は、呼吸をすることで心に働きかけ、自分自身で心を落ち着かせてあげることができます。今回紹介した呼吸法はすべて、日常の中で時間も場所も選ばず、気軽に行うことができるので、魅力的ですよね。ストレスや不安、緊張を感じやすい人には特に効果的だそうです。リラックスできる呼吸法をマスターして、心を整えて健やかに過ごしましょう!