ウェルビーイングとはなにか? 昨今、注目を集めている『ウェルビーイング』という言葉。実際耳にはするけれど、果たしてなんのこと指すのか、良く理解できていない方も多いはずです。『ウェルビーイング』は、WHO(世界保健機関)の世界保健機関憲章において、このように記載されています。「健康とは、単に疾病がない状態ということではなく、身体的、精神的、そして社会的に、完全に満たされた状態にある」("Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.")日本WHO協会和訳『ウェルビーイング』とは、身体的、精神的、社会的に満足した状態のことを指すのです。 世界情勢悪化に伴う物価の高騰、新型コロナウィルスによる制限された社会、これらは現在も私たちの生活において、先の見えない暗い影を落としています。そんな中で『ウェルビーイング』という言葉は、私たちの生活を高める一つの指標と言えるのでしょう。 今回は『ウェルビーイング』を高めるためにどのような暮らし方があるのか、身体的、精神的、社会的の3つのカテゴリに分けて、身近で簡単に意識できることを紹介していきます。ウェルビーイングな暮らし方身体的に満たされるとは 最初に紹介する、『身体的に満たされる』は、今回紹介するカテゴリの中でも、一番実感が湧きやすく、身近なカテゴリです。私たちは、日々の生活の中で、仕事、家事、育児、その他多くのことに時間を割かれます。その中で、「運動量が減った」「体力が落ちた」と感じることがあるかもしれません。もちろん、人間は年齢が上がるにつれ、体力が減少していきます。しかし、これを「しかたない」で済ませてしまうことは、『身体的に満たされる』という観点からも、もったいないと言えるでしょう。 世界最大級の医療センター、メイヨークリニックは、1日あたり30分以上の運動を週3~5回取り組むことでストレスを和らげることができると発表しています。1日30分という時間を確保することは、誰しもが簡単というわけではありません。ですが、10分でも、寝る前のひとときでも、運動を意識して行うことは、ストレス緩和となり、『身体的に満たされる』ということに繋がっていくのだと思います。 運動というと、どのようなことが想像されるでしょうか。「激しいランニング?」「重たいバーベルを持ち上げる?」もちろんこれらも運動です。しかし、このような運動を想像してしまうと、どうしても重い腰が上がらなくなります。まずは無理なく、身近なことから初めてみましょう。おすすめは、特に道具を必要としない『ストレッチ』や、軽度の『ウォーキング』です。ストレッチは筋肉を伸ばすことにより、血液やリンパの流れを良くし、体調不良の予防、改善に効果があります。また、リラゼーション効果があることも、科学的に証明されているのです。 ウォーキングのメリットは、いつ、どのような生活場面においても、意識一つで取り入れることができる手軽さがあります。通勤時、買い物など、いつもより少し速いペースで歩くことを行えば、一つの運動になり得るのです。これらの運動を取り入れることで、現在の体力を維持、または向上し、怪我や病気のリスクを軽減することで、『身体的に満たされた』ウェルビーイングな暮らしと言えます。 『ランニング』や『ジムワーク』など、本格的な運動を暮らしに取り入れることも良いです。しかし、急激な運動や、暮らしのリズムに合わないことはストレスを生む原因になりかねます。それではウェルビーイングを高めるはずが、本末転倒です。運動を通し、心身ともに健康であることが、ウェルビーイングな暮らし方と言えるのです。まずはご自身に合った方法で、ゆっくりと暮らしの中に運動を取り入れてみてはいかがでしょう。精神的に満たされるとは 続いて紹介するのは、ウェルビーイングな暮らしにおける、『精神的に満たされる』です。精神的というと、抽象的に捉えられがちですが、自身の心に負担が掛かりすぎていないことが重要です。心に負担をかけないとは、リラックスしている状態のことを指します。では、どのようなリラックス方法があるのでしょうか? お手軽な方法として、『読書』が挙げられます。6分間集中して行う『読書』はストレスレベルを68パーセント低下させると、研究結果が出ているそうです。『読書』といっても、小説に限らず漫画や絵本、雑誌でも良いでしょう。没頭し、集中することが大事なのです。 また、シャワー浴ではなく、浴槽への入浴環境が整っている方は、『入浴』もリラックスにおすすめです。40度のお湯に全身浴で10分から15分ほどつかることで、副交感神経がリラックスした状態になります。ゆったりとした音楽や、ご自身が好きな香りの入浴剤や、アロマを使用することも良いでしょう。また、入浴する際は、しっかりと水分を摂取することも必要です。体調不良を引き起こしては、リラックスどころではなくなってしまいます。 今回紹介したリラックスの方法は、身近で手軽な方法です。その分、日々の忙しい生活の中で、後回しになることが多いかもしれません。「疲れたからシャワーで、、、」「読書よりyoutubeで、、、」シャワーより湯船でゆっくり、スマートフォンではなく読書でおだやかに、リラックスしてみてはいかがでしょうか。社会的に満たされるとは最後に紹介する『社会的に満たされる』とは、一体どのようなことを指すのでしょうか?これは筆者の解釈になりますが、些細なことでも良いので、自身の意思に基づいた『社会貢献』を行うことだと考えています。 筆者は、東日本大震災の被害にあった福島県に、自衛官という立場から、災害派遣に携わりました。そのときの悲惨な光景は、今でも脳裏に焼き付いています。ですが、それ以上に人間の温かさ、多くの人々が協力し、助け合ったこともしっかりと記憶しています。その経験から、自身がボランティアに赴けない場所であっても、『募金』という形で貢献を続けています。それは、大きな被害からは微々たるものでしかないです。しかし、自身の意思に基づき行っている行動の一つであり、社会を手助けし、社会と関わりを持つ行いだと考えています。 小さなことでも社会と関わりを持ち、困っている誰かの手助けをすることは『社会的に満たされる』と、言えるのではないでしょうか。 まとめ 今回紹介させていただいた、ウェルビーイングな暮らし方は、一つの例でしかありません。100人居れば、100通りのウェルビーイングがあるはずです。生活を高めるウェルビーイングという指標。自身の生活に合った、ウェルビーイングな暮らしを目指してみてはいかがでしょう。参考文献・なぜ運動でストレスが軽減されるのか? (nike.com)・ストレッチに期待できる効果や方法とは | POWER PRODUCTION MAGAZINE(パワープロダクションマガジン) (glico.jp)・毎日のウォーキングで得られる5つのメリットをエキスパートが解説.(nike.com)・6分の読書がもたらすストレス解消効果とは?効果的な方法も解説 | ビギナーズ (rere.jp)・リラックス健康入浴法 疲労回復&リラックスに!おすすめ入浴法|応援!くらしのキレイ|花王 くらしの研究 (kao.co.jp)