読者のみなさんは、普段の休日をどのように過ごしていますか?家事や育児、仕事の疲れから家でゆっくりしたり、あるいは気分転換のために外食に行く方も多いかもしれません。休日をどのように過ごすにしても、「心地よさ」を大切にするのがウェルビーイングの基本。ウェルビーイングを意識しながら、毎日を健やかに送りたいものですよね。そこでウェルビーイングな休日の過ごし方として紹介したいのが、神社やお寺をめぐって日本文化を体感する歴史散策です。神社やお寺には、歴史やご由緒が多いため学びが多く、散歩も兼ねていることから健康促進にもつながります。今回は数多くの神社・仏閣のなかから、歴史と文化が集まる上野散策を紹介しますので、ぜひ最後まで読んで、参考にしてみてください。神社・仏閣巡りで歴史散策近年、神社・仏閣の人気が再燃し、国内外問わず多くの観光客でにぎわうようになりました。「パワースポット」という言葉が流行したのがその原因の1つですが、神社や仏閣を散策する上で大切なのは、「日本の良さを再発見する」ことにあります。時代ごとに異なる仏像の姿や、お堂や境内の歴史を学ぶことは、ただの知識だけではない歴史の流れを感じさせ、今この瞬間を生きることの大切さを私たちに気づかせてくれます。また、普段は行かない場所に足を運ぶことで脳の働きが活性化され、気分転換や新たなアイディアを生み出すきっかけにもなるかもしれません。神社・仏閣を巡りながら知的好奇心を刺激し、ウェルビーイングの向上を目指してみませんか?御朱印集めも楽しい神社・仏閣巡りの大きな楽しみの1つが御朱印集めです。御朱印のルーツは古く、昔は神社やお寺に写経を奉納する「納経」の証として授かったものと言われています。御朱印はそれぞれの神社・仏閣ごとにいろいろあり、種類も豊富なため、参拝と御朱印をセットで楽しんでいる人も少なくありません。みなさんの周りにも、御朱印を集めることを趣味にしている方がいらっしゃるかもしれませんね。また、同じ神社・仏閣でもご縁日限定御朱印や、期間限定御朱印などもあり、場合によっては御朱印を受けるのに何時間も待たされることもあるそうです。ただし、御朱印は参拝の証として授かるものですので、まずはきちんとお参りをしてから受けるようにしましょう。最近は事前に御朱印が書かれてある「書き置き」を渡すところも少なくありませんが、御朱印帳に直書きしていただく場合は、書いていただくページを開いて渡すのがマナーです。東京で訪れたい神社・仏閣6選「上野編」東京には有名な神社・仏閣が多くありますが、今回は散歩コースとしても楽しめる上野周辺を紹介します。情緒があふれる街並みを歩きながら、ぜひ日本の伝統や歴史文化に触れてみてください。1.上野寛永寺(うえのかんえいじ) Photo by hakoまずは上野寛永寺を紹介します。寛永寺は1625年、徳川幕府の発展と安泰を祈願するために建てられました。江戸時代には格式、大きさにおいて全国でも有数の寺社であり、ご本尊である薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)は、歴史の教科書でおなじみの最澄(さいちょう)本人が掘ったものと言われています。また1698年には、寛永寺の本堂「根本中堂(こんぽんちゅうどう)」が完成し、その大きさは間口45メートル、奥行き42メートル、高さ32メートルという広大なものでした。残念ながら幕末の上野戦争や明治政府により、本堂やその土地の多くが消失・没収されたものの、現代でも上野を象徴する寺社として多くの参拝客でにぎわいを見せています。物事の本質を表現する「根本的に」という言葉は、「根本中堂」を由来としています。豆知識として、ぜひ覚えておいてくださいね。上野寛永寺HP2.上野東照宮(うえのとうしょうぐう) photo by hako東照宮といえば、日光東照宮を思い浮かべる方が多いと思いますが、上野にも東照宮があるのをご存じでしょうか。上野東照宮は、徳川家康の遺言として1627年に建てられました。上野東照宮で目を引くのは、なんといっても黄金に光り輝く「金色殿」。外壁・内壁ともに金色で彩られており、その美しさは徳川家の財力を象徴するかのようです。日光東照宮ほどではありませんが、本殿には見事な彫刻が施されており、左甚五郎(ひだりじんごろう)の昇り龍・降り龍は一見の価値ありです。また、別途拝観料を払えば本殿を間近で見られるほか、境内でしか出会えない神社もあるので、神社・仏閣好きには見逃せないエリアとなっています。季節ごとに「ぼたん苑」も開かれ、色とりどりのぼたんの花が参拝者の目を楽しませてくれます。上野東照宮HP3.五條天神社(ごじょうてんじんじゃ) photo by hako上野東照宮から歩いて5分ほどにあるのが五條天神社です。創建はなんと今からおよそ1900年前、第12代景行(けいこう)天皇の時代にまでさかのぼるのだとか。ご由緒によれば、日本武尊(やまとたけるのみこと)が戦地へ赴く際、薬祖神への感謝の気持ちとしてお祀りしたのが始まりと言われています。そのため、現代でも無病息災や病気平癒(へいゆ)の神社として、人々の心のよりどころとして尊崇の念を集めています。また、すぐ近くには花園稲荷神社や穴稲荷神社もあるため、合わせて訪れるのも良いかもしれませんよ。御朱印を授かりたい方は、社務所にて五條天神社、花園稲荷神社ともにいただけます。4.清水観音堂(きよみずかんのんどう) photo by hako清水観音堂は、その名の通り京都の清水寺に見立てて建てられたお堂です。京都の清水寺のような大きな寺社ではないものの、ご本尊の千手観世音菩薩は清水寺から奉納されています。また、千手観世音菩薩の横には通称「子育て観音」が祀られており、安産や子育ての観音様として信仰の対象となっています。清水観音堂は1631年に創建され、上野の山に存在する最古の建造物としても有名です。さらにもう1つ、清水観音堂で見逃せない人気スポットが「月の松」。浮世絵師・歌川広重の『名所江戸百景』にも描かれている「月の松」は、円形状の不思議な形をしており、円をのぞくと中央奥に不忍池辯天堂が配置される仕掛けとなっています。現在の「月の松」は平成24年に復元されたものですが、当時の風景や風情を感じられる、上野屈指の名所として観光客にも人気の仏閣です。清水観音堂HP5.不忍池辯天堂(しのばずいけべんてんどう)清水観音堂の「月の松」からのぞいた先にあるのが不忍池辯天堂です。「不忍」と書いて「しのばず」と読みます。清水観音堂と同じく、あるものに見立てて建てられたお堂ですが、なんだかお分かりでしょうか。こちらは、不忍池を琵琶湖に見立てており、建立当時は参拝するのに船で渡っていたそうです。やがて参拝客が増えると、のちに橋がかけられました。ご本尊は、音楽や芸能の神様として知られる辯才天です。その他「辯財天」とも記されることから、金運上昇のご利益がある神様として、古くから信仰を集めています。また境内には「めがね供養」や「ふぐ供養」といった珍しい石碑があるほか、夏には池一面にハスの花が咲き誇り、辯天堂を訪れる参拝客を目でも楽しませてくれます。不忍池辯天堂HP6.摩利支天徳大寺(まりしてんとくだいじ) photo by hako不忍池辯才天から歩くことおよそ10分。活気ある飲食店や雑貨店が立ち並ぶアメヤ横丁(通称アメ横)の中にあるのが、摩利支天徳大寺です。こちらも江戸時代からおよそ400年続く由緒ある寺社で、摩利支天のご縁日である亥(イノシシ)の日に参拝すると特別なご利益があるとして現在も多くの参拝客でにぎわっています。ご本尊の摩利支天は、拝見することができない「完全秘仏」とされ、一説によれば聖徳太子が彫ったものと言われています。関東大震災の火災により本堂は消失したものの、昭和39年に完全に復興が完了し、現在の姿となりました。摩利支天のご利益は商売繁盛のほか、勝負運も高めてくれるので、「ここぞ!」という場面で訪れてみると良いかもしれません。なお、ご縁日の亥の日はホームページをご確認ください。摩利支天徳大寺HP日本文化を肌で感じて、ウェルビーイングの質を高めよう今回はウェルビーイングな休日をテーマに、「上野散歩編」と題して上野の神社・仏閣を紹介しました。あまり日本の歴史や文化に関心がない方にも、本記事を読むことで少しでも興味を持っていただければ幸いです。一方で、東京に来る予定のある方は、この記事を参考に、ぜひ上野の文化を味わってみてください。歴史や文化を知ることは、自分のルーツやご先祖様を敬うことにもつながります。今、自分が生きていられるのはご先祖様がいてくれたおかげです。日頃から「おかげさま」の気持ちを持つだけでも、きっとウェルビーイングの質がグッと高まると思いますよ!