誰でも手軽にできて、ウェルビーイングの質を高めてくれる趣味の1つに読書が挙げられます。MiCORAY読者の方にも、日頃から読書を習慣づけている方も多いのではないでしょうか。近年では、SNSなどの影響により「読書離れ」が加速していますが、読書には脳の活性化や、ストレス発散などの優れた効果が期待できることが解明されつつあります。また、「1冊の本と出会って人生観が大きく変わった!」という経験がある方もいらっしゃるかもしれません。そこで本記事では、読書で得られる驚くべきメリットについて解説していますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。日本人の読書に対する意識読書離れが叫ばれる昨今。日本人の読書習慣について調べた調査があります。2018年度に発表された文化庁による調査「国語に関する世論調査」によれば、全体のおよそ半数が1カ月に1冊も本を読んでおらず、習慣的に読書をする人でも、およそ67.3%が「読書時間が減っている」と回答しました。これは過去の調査と比較しても増加傾向にあり、今後も高まることが予想されます。しかし一方で、2021年度に行われた同調査においては、13.9%の人が「非常に国語に関心がある」と回答し、68%が「ある程度関心がある」と答えており、読書量は減少傾向にあるものの、いぜんとして国語に対する関心が高いことがわかりました。近年、OECD生徒の学習到達度調査において、日本人の子供たちの読解力が後退傾向にあることが明らかとされており、読書習慣による改善が求められています。文化庁平成30年度「国語に関する世論調査」の結果の概要文化庁令和3年度「国語に関する世論調査」の結果の概要ウェルビーイングの質を高めるには読書が効果的ウェルビーイングとは単なる「健康」という概念ではなく、身体的、精神的、社会的に良好な状態を意味する言葉です。近年、日本においてもウェルビーイングの取り組みが広まりつつあり、各自治体でもさまざまな目標が掲げられています。また、個人においてもウェルビーイングへの意識が高まっており、日常生活や行動、働き方などが徐々に見直され始めています。ウェルビーイングの質を高める方法はさまざまですが、なかでも誰でも手軽にできる活動が読書です。上述したように、日本人の読書習慣は現象傾向にあるものの、読書が脳の想像力を高める効果が指摘されており、改めて読書の重要性が指摘されています。そこで以下では、読書で得られるメリットや効用について紹介します。この記事を読んだその日から効果を発揮しますので、ぜひ参考にしてください。東京大学大学院総合文化研究科「読書は脳の想像力を高める」読書で得られるメリット7選読書には、知識を得るだけでなく、ストレス発散やコミュニケーションの促進といったさまざまなメリットがあります。読書の効果を知っていただき、日頃のウェルビーイングの向上に役立ててみましょう。1.時間を有効活用できるなんとなくスマートフォンを見ていて、いつの間にか時間が過ぎてしまい「時間を無駄にした」という経験はありませんか?このような経験がある方には、スキマ時間を利用しての読書がおすすめ。たとえ短い時間であっても、スキルアップに役立つ本を読んだり、好きな小説を読み進めれば、「時間を自分のために使えた!」と感じられるはずです。時間があれば自分の好きな時に読み始められるのが読書の利点。日頃からちょっとしたスキマ時間を読書にあてて、時間を有効活用してみてはいかがでしょうか。荷物がかさばるのが気になる方は、電子書籍を利用するのも良いでしょう。ただ、脳の想像力向上には「紙の本」が効果を発揮するようですよ。2.ストレス発散につながる読書にはストレス発散効果があることが、イギリス・サセックス大学の研究チームにより明らかになりました。研究によれば、わずか6分間の読書で68%のストレスを軽減できるとのこと。これは音楽を聴いたり、コーヒーを飲んで休憩するよりも効果があったそうです。また、読書をするには静かな場所であればあるほど効果が高いとのこと。読書は基本的にシングルタスクで集中するため、現実的な悩みや不安から解放されるというのも頷けます。最近ストレスを感じている方は、まずは6分間の読書を試してみてください。おすすめはの時間は寝る前のリラックスタイム。毎日続けることで、ストレスが徐々に軽減されていくことが実感できるはずですよ。3.多くの知識が身に付く読書の代表的な効用といえば、知識の習得です。読書には、これまで知らなかったことや、自分とはかけ離れた世界を擬似的に体験する効果があります。新しく知ったことに興味を持ち、さらに知識を深めたいと思わせてくれるのも読書の大きなメリットです。また、知識が増えれば世界観が広がるため、自然に教養も深まることでしょう。何気なく読んでみた作品が、人生を切り開くヒントになることもあります。机の上に置いたままになっている「積読(つんどく)」が視野を広げるきっかけになるかもしれませんよ。4.人とのコミュニケーションが良好になる職場や家庭において欠かせないのが、コミュニケーション能力です。読書にはコミュニケーション能力を高める効果も期待できます。例えば、小説を読む場合を想像してみてください。その時私たちは、登場人物の気持ちや情景を想像しながら物語を読み進めるはずです。また、作者ごとに表現方法が異なるのも読書の醍醐味。さまざまな言葉や表現に接することで、ボキャブラリーを吸収でき、結果的にスムーズなコミュニケーションにつながることでしょう。5.自分と違う価値観を受け入れられる時代は刻一刻と変化しており、これからの時代はますます多様な価値観を知ることが求められます。もちろん、snsなどで情報を知ることも大切ですが、情報が限られているのも事実です。一方で、1冊の本には多くの情報が書かれており、著者の視点を詳しく知ることができます。そのため、自分にはない価値観を体系的に知るためには、やはり読書が有効といえるでしょう。また、著名人などの人生観には、困難を乗り越えた時の対処法や心構えが書かれていることも少なくありません。自分と違った価値観や考えを知れるのも、読書の大きなメリットの1つです。松下幸之助さんの自伝が現在も読み続けられているのは、多くの人にとって「生きるヒント」になっているからでしょうね。6.会話力、文章力が育つコミュニケーション能力の向上とも関わりますが、読書を習慣づけることで、会話力や文章力が育つことも期待できます。というのも、本の中には日常生活で使用頻度が少ない言葉も登場します。読書を続けることで、たくさんの言葉が身につき、さらに論理的思考力も高まるため、文章力の向上が期待できます。読書で身についた文章力は、企画書やメールなどのビジネスシーンでも活かせることから、仕事での評価が高まるきっかけにもなるかもしれませんよ。7.創造性・想像力が養われる文字や写真入りの本もありますが、基本的には文字や単語のつながりで心情や情景、あるいは思考を想像します。たとえば、「川から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました」という文章を読んだ場合、その情景を頭の中で想像しますよね。読書は視覚的でない代わりに、想像することで物語に接します。そのため、読書を習慣づけることで想像力が育まれ、共感することにもつながることもメリットの1つです。共感とは、他者に対して生じる感情であるため、読書は社会的なウェルビーイングの向上にも大きな役割を果たすでしょう。読書でウェルビーイングの質をアップさせよう読書がもたらすさまざまな効果について紹介しました。これほどたくさんのメリットがあることに、驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。読むジャンルはどんなものでも構いません。ご自身の興味に合わせて、楽しみながら続けてください。すぐには効果が出ないかもしれませんが、続けるうちに、きっと以前とは違った自分を実感できるはずです。ウェルビーイングの質を高めるには、読書が最適。この記事を機会に、今日からさっそく読書を始めてみてください。参考資料学研読書の効果に関する調査研究の成果(文科省)motomdomani