ハラスメントとは、相手に対して言葉や行動などで嫌がらせを行うことを言います。もし本人に嫌がらせをする意思がなかったとしても、受け取る側が不快だと感じた場合は、ハラスメントに該当するのです。ハラスメントは起こらないことが1番ですが、もし自分が被害に遭ってしまった場合どのように行動したらいいかを頭に入れておくことは大事です。また、もし他の人がハラスメントを受けていることに気付いてしまったら、どのように対応したらいいかも知っておきましょう。ハラスメントの種類近年、ハラスメントという言葉をニュースやインターネットなどで目にする機会が増えたのではないでしょうか。同僚や上司と接している中で、違和感を感じたことがハラスメントに該当する可能性がありますので、どのようなハラスメントがあるかについて知っておくことは大切です。・パワーハラスメントパワーハラスメントは、お互いの間にある立場を利用し、殴る蹴るなどの身体的苦痛や、暴言や仲間外れ、席を1人だけ別室にうつされるなどの精神的苦痛を与えることです。上司から部下に対してなど上の立場の人が下の立場の人に対して行うのが一般的ですが、同僚間や部下から上司に対して行うことも増えているそうです。労働施策総合推進法という法律があり、パワーハラスメント防止対策を行うことが会社には義務付けられています。・セクシャルハラスメントセクシャルハラスメントは、性的な言動による嫌がらせのことを言い、抱きつく、性的な関係を持つように要求する、性的な質問をするなどが該当します。男性から女性に対して行われることが多いですが、女性から男性、同性同士であってもセクシャルハラスメントに当たります。男女雇用機会均等法の中でセクシャルハラスメント防止について定められており、会社は防止措置をとることが義務付けられています。・マタニティハラスメントマタニティハラスメントは、妊娠や出産、育児を行う女性に対して、嫌がらせをすることを指します。男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の中で、マタニティハラスメント防止については定められていて、労働者の労働環境が悪化しないように防止策を取ることが義務付けられています。・パタニティハラスメントパタニティハラスメントは、マタニティハラスメントの男性版のことを言います。2022年10月、男性の育児休業取得を推進するため、男性が積極的に取得できるようにと、産後パパ育休制度が創設されました。社内で男性が育休を取得しづらいような嫌がらせ、取得したことで人事評価に影響を与えるなどがパタニティハラスメントに該当します。・ケアハラスメントケアハラスメントは、家族の介護を行う社員に対して行われる嫌がらせのことを言います。介護休暇の取得を妨害したり、介護を理由に残業ができない人に対し、嫌味など精神的苦痛を与えることが該当します。もし会社でハラスメントにあってしまったら1.記録を残すもしあなたがハラスメントされたと感じた時は、まず記録を残しましょう。記録は、いつどこで誰にどのようなことをされたかなど具体的であることが望ましいです。メモでもいいですが、証拠となる録音などがあると事実確認する際に役に立ちます。2.信頼できる人に相談するハラスメントを受けて我慢していたら、エスカレートしてしまう可能性があります。1人で悩まずに、悩みを打ち明けられる同僚や上司がいる場合は、相談してみることをおすすめします。周りに相談することで、味方となって協力してもらうことができるかもしれません。誰に相談するかはしっかりと見極めることが大切です。3.社内窓口に相談する同僚や上司に相談できない、周りが気付いているはずなのに見て見ぬふりをしているなどの場合は、社内窓口に相談しましょう。会社では、社内にハラスメントの相談窓口を整備することが義務付けられています。相談窓口が分からない場合は、人事労務担当者や労働組合などに聞いてみてください。相談をしたことで、会社が相談者に不利益な扱いをすることは法律で禁止されていますし、プライバシーに配慮することも義務付けられていますので、安心して相談してください。社内で相談をすると、担当者から事実関係の聴き取りが行われますので、記録を元に具体的に伝えるようにしましょう。担当者は、本人の同意を得た上で、ハラスメントを行った本人や周囲の人に向けて調査を実施します。社内でハラスメントの事実があると判断された場合、減給や出勤停止、降格などの懲戒処分が下されたり、配置転換などが行われることが多いそうです。4.社外窓口に相談する社内に相談窓口がない、相談したのにもかかわらず、動いてもらえないなどの場合は、外部の相談窓口に相談しましょう。社外窓口は以下のような場所があります。・各都道府県労働局総合相談コーナー・都道府県労働委員会・県庁・法テラス・みんなの人権110番無料で相談を受け付けており、電話相談も可能ですので、まずは電話してみるといいかもしれません。外部の人がハラスメントが起きた状況などを把握しやすいように、ハラスメントを受けた際の記録を整理しておくと説明しやすいでしょう。もし学校でハラスメントにあってしまったら近年、学校内の教員同士などで肉体的、精神的な嫌がらせをするスクールハラスメントが起きていることが問題になっています。記録を残し、周囲に相談するまでは、会社でハラスメントを受けた場合と変わりません。学校内にハラスメント窓口がないことが多いようですので、学校外の窓口に相談することになります。会社員の窓口である総合労働相談コーナーや都道府県労働委員会では、教員の相談は取り扱っていません。管轄の都道府県または市町村の教育委員会の相談窓口に相談しましょう。◇もしハラスメントに気付いたら・・・自分がハラスメントにあっていないとしても、身近な人がハラスメントにあっていることに気付くことがあるかもしれません。その際に1番してはいけないことは、見て見ぬふりをすることです。ハラスメントを受けている本人は、もしかしたら誰にも相談できず、辛い思いをしている可能性があります。まずは声をかけ、しっかりと話を聞き、本人の意向を確認してください。一緒に相談窓口に相談に行ったり、本人に代わって相談をしたりすることで、解決に向かうことができるでしょう。話を聞くときに注意しないといけないのは、相手を追い詰めないことです。あなたにも非があるなどの的外れなアドバイスをしてしまうことは避け、相手の話をしっかりと受け止めるようにしましょう。ハラスメントには適切に対応しよう今回紹介した以外にも、未婚の人を責めるマリッジハラスメント、喫煙者が非喫煙者に対して行うスモークハラスメントなど多くのハラスメントがあります。働いている中で相手の言動などに違和感を感じたら、ハラスメントに該当するかどうかを一度調べてみましょう。相談していいか分からない、相談しても無駄なのではないかと思うかもしれませんが、会社は対応することが義務づけられています。我慢したり、1人で悩む必要はありません。ハラスメントに対する知識を普段から身につけておくことで、もし自分の身にふりかかったときは、適切な対応をするようにしましょう★MiCORAYピックアップ★・Smart相談室・HRベース HR-base・クオレ・シー・キューブ・メンタルヘルス ハラスメント - MCC Wellbeing・労働トラブル相談士参考資料総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省個別労働関係紛争のあっせん|中央労働委員会|厚生労働省法テラス・サポートダイヤル法務省:常設相談所(法務局・地方法務局・支局内)