インターネットの発達にともない、コミュニケーションのあり方が様変わりした現代。とりわけSNSの広がりは、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。SNSやメールは、いつでもどこでもメッセージのやりとりができる便利なツールである一方、「手書きで文字を書く」ことの大切さが見直されているのをご存じでしょうか。なかでも、最近では書道体験の人気が高まっており、日本人はもちろん、海外からの旅行者にも注目が集まっています。そこで本記事では、日本における書道の歴史や書道体験で得られるメリットについて紹介していますので、最後までお読みいただき、ぜひ参考にしてください。ウェルビーイングと書道?「ウェルビーイングと書道?」と疑問を持たれた方もいるかもしれません。改めて簡単に説明すると、ウェルビーイングとは「身体的」「精神的」「社会的」に充実した状態を示します。そしてウェルビーイングの充実には、その国の文化や食、働き方などさまざまなジャンルが相互に関係しており、日本文化の代表である「書道」はウェルビーイングの充実に大きな貢献が期待できます。読者のみなさんも、小学校や中学、場合によっては高校などで書道を経験された方が多いのではないでしょうか。書道は、ただ文字を書くだけでなく、創造性や集中力の向上、日本文化への理解といったさまざまなメリットがあります。そのため、日頃のウェルビーイングを充実させる上で、書道体験はうってつけのアクティビティと言えるでしょう。日本における書道そもそも、日本に書道が伝わったのはいつ頃なのでしょうか。ここでは、書道の歴史について簡単に解説します。日本における書道の起源については諸説あるものの、その始まりは中国から漢字が伝わった5〜6世紀頃だとされ、仏教徒の写経から広まりました。日本の歴史区分では、飛鳥時代から奈良時代にかけてですね。その後、8〜9世紀頃に空海や嵯峨天皇などによって盛んになります。そして10〜11世紀に日本独自の「かな文字」を含む書道が生まれると、以降、日本の文化として庶民にも親しまれるようになりました。そして現在。日本の書道は登録無形文化財として登録申請され、今後はユネスコの無形文化遺産への登録も目指しています。外国人にも書道の人気が高まっている書道が外国人旅行者の間で人気が高まっているのをご存じでしょうか。漢字1文字にはそれぞれ意味が含まれており、その奥深さが人気の理由なのだそうです。また日本人は漢字の意味や文字に注目しがちですが、外国人から見た漢字は「見た目のカッコ良さ」が新鮮に映るとのこと。日本人が書道を「道」として理解し、外国人は「アートやデザイン」としてとらえていることがわかりますね。最近では、アクティビティとして書道体験に参加する外国人も増えており、日本での旅の思い出として注目を集めています。1日体験から挑戦するのもOK私たち日本人にとって馴染み深い書道が、世界的にも大きな注目を集めているのをご理解いただけたと思います。とはいえ、書道教室に通うとなるとまだまだハードルが高く、時間も限られていることでしょう。そんな方には、1日書道体験がおすすめです。最近の書道教室は、文字の書き方を教えるだけでなく、全国の特性を生かした書道教室作りが活発になっています。たとえば、広島県の宮島にある書道教室では、名産の「しゃもじ」に好きな文字を書いてオリジナル作品作りを楽しめます。その他、墨作りが体験できる教室や、スイーツやドリンク付きの教室など、日本全国でさまざまな書道体験教室が人気です。旅行に行かれる際には、現地の書道教室も候補に入れてみても良いかもしれません。ウェルビーイングに書道が良い理由5選ここまで、書道の歴史や現在の取り組みを紹介しました。しかし、書道の魅力はそれだけではありません。書道には、ウェルビーイングの向上に効果的なメリットがたくさんあります。そこで以下では、書道を通じて得られるポジティブな効果を5つ紹介します。ストレスが多い現代社会。書道はそんな日常を忘れさせてくれる最良のウェルビーイングかもしれません。1.キレイな文字が良い印象を与える書道の最大の魅力として、最初に思い浮かぶのが「美しい字が書ける」ことではないでしょうか。最近は文字を書く機会が大幅に減っているものの、それでも文字を書く機会がなくなったわけではありません。ビジネスや冠婚葬祭、ハガキや履歴書作成など、文字を書く機会はまだまだ多くあります。なかには、「手書き」を要求される場合もあることでしょう。そんなとき、美しくキレイな文字は、相手に良い印象を与えられること間違いなしです。一度書き方を習得すれば、一生役にたつスキルですので、キレイな文字を書きたい方には書道がおすすめです。2.集中力が高まる書道のメリット2つ目は、集中力が高まることです。というのも、書道には「トメ・ハネ・払い」があり、それぞれを美しく書くには、高い集中力が必要となります。そのため、書道を行うことで自然に「一点に集中する」習慣が身につき、他の作業においても集中力が発揮されやすくなることでしょう。また、集中することで日頃の雑念から解放され、気持ちがスッキリするのも書道のメリットです。これは、以前MiCORAYの記事で紹介した、書く瞑想「ジャーナリング」にもつながりますね。3.脳のリフレッシュになるSNSの発達により生活が便利になった一方で、現代人の多くが「脳疲労」に悩まされています。脳疲労とは、情報過多によって脳が情報を処理しきれなくなる現象のこと。悪化すると頭痛やめまい、不眠やだるさなど、さまざまな身体症状を引き起こすため注意が必要です。最近流行しているショート動画の見過ぎは、脳疲労をとくに悪化させます。そのため、脳疲労を防ぐためには脳の休息を意識してみましょう。そんなときに有効なのが書道です。書道は1つのことに集中して取り組むため、余計な情報が入らず「今ここ」だけに注意が向きます。必要以上にイライラしたり、体調が優れない方は、脳疲労を起こしているのかもしれません。そんな方にはリフレッシュのためにも書道体験がおすすめです。4.コミュニケーションが増える1人で黙々と取り組むイメージの書道ですが、書道体験では新しいコミュニケーションが生まれることでしょう。趣味の世界では年齢や性別、経歴などいろいろな人が集まります。日頃の生活にマンネリを感じている方にとって、新しい人々との出会いはきっと良い刺激になることでしょう。また近年、「生涯学習」の大切さが再認識されています。その点でも書道は何歳からでもスタートできるため、うってつけの障害学習ではないでしょうか。5.手書きは脳力を高める手で文字を書くことは、学習能力や記憶力の向上につながることがノルウェー科学技術大学の研究により明らかになりました。手で文字を書く方が、キーボードの場合よりも脳がより活性化するそうです。その大きな要因が、手書きによって生じる感覚。手で文字を書くことは、脳内のさまざまな領域を接続させるため、学習効果の大幅アップが期待できます。とくに繊細な筆使いが要求される書道には、脳力の向上が期待できます。ウェルビーイングな休日に書道を取り入れてみよう今回はウェルビーイングな休日の過ごし方として、書道体験を紹介しました。書道は単に文字を書くだけでなく、奥深い日本文化に触れることにもつながります。また、書道を通じて得られるメリットやアクティビティも豊富なので、この記事を機会にぜひ休日の楽しみとして書道を取り入れてみてはいかがでしょうか。1度体験すれば、ウェルビーイングが向上すること間違いなしです。★MiCORAYピックアップ★・ACTIVITY JAPAN・アソビュー・いこーよ・ストアカ・LIVE JAPAN・DEEPLOG参考資料SHODOFAM ・日本書道の歴史を時代ごとに解説/中国と日本の関係性にほんご日和 日本文化としての書道とは?基本所作と5つの書体訪日ラボ 外国人が好きな日本の伝統文化10選とその理由インバウンド向け体験コンテンツ3事例書道塾優美舎 書道がストレス解消にぴったりな理由学校法人関東学院 院内学級に通う児童への書道を通した関わりの効果ー自尊感情・自己肯定感に焦点をあててー書道入門 習字・書道を学ぶことのメリット文化庁buncu 書道の登録無形文化財への登録について文化庁 令和2年度 生活文化調査研究事業(書道) 報告書