都会で慌ただしく生活していると、ふと「満員電車や渋滞のない田舎でのんびり生活したいな」と想像したことはないですか?2023年の内閣府の調査によると、東京圏に住む20代の若者の地方への関心は44.8%と、近年若者の田舎暮らしへの関心は高まっています。SNSで田舎暮らしの投稿を見て興味をもったり、リモートワークの普及で仕事場の選択肢が広がったりしたことが背景にあります。しかし、本当に田舎暮らしは想像するような満たされた生活を送ることができるのでしょうか。「理想と現実が違った」ということのないよう、あらかじめどんな特徴があるのかを知っておくことをおすすめします。そこで今回は、田舎暮らしのメリット・デメリットを解説し、移住前に知っておきたい3つのポイントを紹介します。田舎暮らしのメリット田舎暮らしはどんなメリットがあるのかを見てみましょう。とにかく自然がいっぱい田舎暮らしの1番のメリットは、やはり自然が多いことです。高層ビルがなく、山や海などの自然がつくり出す景観は、心を穏やかにしてくれることでしょう。新鮮な農作物を直売所で安く買えたり、ご近所さんからいただいたりと、地産地消の健康的な食生活を送ることができます。子育ての面でも、子どもが自然のなかで育む感性は、都会では得られない貴重なものになるでしょう。住宅費用が安く敷地の面積が広い田舎は都会とくらべて土地や賃料が安く、広い家に住むことができます。となりの家と距離があるため、子育てをしていても騒音を気にする心配はありません。また、安価で古民家をリノベーションできるなど、限られた予算内でも自分たちの理想の住居で生活できるのは、田舎暮らしの特権といえます。人の温かさやつながりを感じられる田舎暮らしでは、助け合った生活を送り人とのつながりを感じることができます。都会ではとなりにどんな人が住んでいるかわからない、なんてこともあるでしょう。田舎では雪かきや草刈りなど、住民同士が当然のごとく助け合いながら生活しています。ただ、人との関わりが苦手な場合は、田舎の人間関係はデメリットになるかもしれません。田舎暮らしのデメリット田舎暮らしはどんなデメリットがあるのかを見てみましょう。自然の脅威がある田舎暮らしは、ときに自然の脅威を目の当たりにします。たとえば、台風による洪水や土砂災害、倒木や停電、または大雪による積雪もあります。あるいは熊などの野生動物と遭遇することもあるでしょう。場合によっては生命にかかわることも。住む地域をよく選ぶことも重要ですが、田舎で生活することは、自然災害を含め、自然と共存する覚悟が必要といえるのではないでしょうか。国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」で、移住先にどんな自然災害のリスクがあるのかを把握しておくとよいでしょう。ハザードマップポータルサイト|国土交通省商業施設や、医療機関が少なくて不便都会では数分歩けばスーパーやコンビニがありますが、田舎はそうではありません。大型の商業施設や娯楽施設も少なく、病院へ行くには車で数時間かかる、なんてことも。普段はあまり気にならなくても、病気をしたときには、買い物や医療機関が遠いことに不便を感じることもあるでしょう。最近は、電話やオンライン診療が普及しているため、うまく利用できるとよいかもしれません。また、ネットスーパーを利用したい場合は、配達エリアに移住先が入っているかを事前に確認しておくことをおすすめします。車の維持費や光熱費がかかる田舎暮らしでは、公共交通機関が少ないため車が必需品です。家族の送迎や買い物など、日常的に車を運転する機会は多くなるでしょう。そのため、ガソリン代を含めた車の維持費がかかります。光熱費の面では、寒い地域は暖房の電力を必要以上に消費するため、電気代が高くつくことも。ガスは都市ガスではなく、プロパンガスが主流のため、業者によっては高額になることもあります。近年では「スマートモビリティチャレンジ」という、田舎で生活する住民の移動をサポートする取り組みが行われています。車を持ちたくない場合は、移住先の交通手段を事前に調べてみるとよいかもしれません。スマートモビリティチャレンジとは|経済産業省 国土交通省移住前に知っておきたい3つのポイント移住をスムーズにするために、事前に知っておきたいポイントを紹介します。1. 田舎暮らしをする目的を明確にするただ漠然と憧れて移住しても、理想とのギャップにつらい思いをすることになります。「自然のなかで子育てをしたい」「自分の育てた農作物で商売をしたい」など、自分がなぜ田舎暮らしをしたいのか、誰と、どのような生活を理想とするのかを具体的にイメージしておくことが大切になります。目的が明確にあることで、困難を乗り越える糧になるでしょう。2. 田舎暮らしの移住体験をする移住の候補地が決まれば、その地域での移住体験をしてみることをおすすめします。移住体験は、短期的に田舎暮らしを体験できる「田舎暮らし体験ツアー」や、長期的に田舎での暮らしを体験できる「お試し住宅」などがあります。候補地には何度か足を運び、季節ごとの暮らし方を体験しておくとよいでしょう。移住体験は各地域の自治体が運営しています。体験を希望する場合は、候補地の自治体のサイトで確認してみてください。移住体験プログラム|田舎暮らしを体験|栃木県移住・定住促進サイト2024.1.31まで、栃木県の日帰りや2泊3日の体験ツアーが参加費無料で行われています。体験には条件があるため、興味のある人は詳細を確認してみてください。山形村おためし住宅|長野県山形村長野県のおためし住宅です。1泊2,000円で、最大1か月までお試し住宅を利用できます。また、時期によっては農業体験イベントも行われているため、体験をとおして地域住民と関わることもできるでしょう。3. 移住支援制度を利用する国や自治体によって、さまざまな移住支援が行われています。国による移住支援は、東京圏で就職していた人が地方へ移住し起業する場合や、地方へ移住する場合に、100~300万円の支援金が支給される制度です。企業支援金・移住支援金|地方創生また、自治体による移住支援は、各自治体で内容が異なります。たとえば島根県では、県外から移住の際、引っ越し料金や、教習所費用の割引制度などを利用できます。【くらしまねっと】しまね移住情報ポータルサイト移住支援制度は、移住にかかる費用をおさえられるため、候補地が決まれば必ず確認しておきましょう。また、各自治体で子育て支援などにも違いがあります。移住した後のライフプランに沿った支援内容を、事前に確認しておくことをおすすめします。全国自治体支援制度検索:ニッポン移住・交流ナビJOIN移住するなら現実的な計画を立てよう移住は人生において大きな決断になるため、現実的な計画を具体的に立てることが大切です。そのためには、事前の情報収集を入念に行い、理想と現実のギャップを埋めることが重要になります。また、先輩移住者のコミュニティがあれば入ることをおすすめします。リアルな体験談を聞けると、移住後の生活を具体的にイメージできるでしょう。田舎暮らしで理想の生活を実現できると、人生がより豊かになります。ぜひこの機会に、田舎暮らしを検討してみてはいかがでしょうか。★MiCORAYピックアップ★・【静岡県公式】移住・定住情報サイト|ゆとりすと静岡・山梨県/はじめませんか?やまなし暮らし・【愛媛県公式】移住ポータルサイト|えひめ移住ネット・福岡県 移住・定住ポータルサイト|福がお~かくらし・「広島暮らし」|広島県参考文献第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査P23|内閣府遠隔医療の更なる活用について|厚生労働省よくある質問Q&A|公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会ふるさと回帰支援センター宮崎県:UIJターン