リモートワークなどの普及により、日常生活が大きく変化した昨今。通勤によるストレスが減った一方、おうち時間が増えたことにより、これまでとは違うストレスを抱える人も多いのではないでしょうか。とくに旅行好きの方にとっては、コロナ禍の3年間はツライ時期を過ごされたはずです。ウェルビーイングの観点から見ても、旅行は大切な要素と考えられており、最近では、個人の幸福や心身の健康を向上させることを目的とした「ウェルビーングツーリズム」が注目を集めています。そこで本記事では、旅先で体験できるウェルビーイングを紹介しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。ウェルビーイングについて知ろうウェルビーイングとは、身体だけでなく、精神的・社会的にも満たされた状態のことを指します。当初は世界保健機構(WHO)憲章の中において「健康」について記載された文言でしたが、現在では「幸福」の意味でも使われています。これまで、「幸福度」や「豊かさ」の指標として、経済的指標であるGDP(国内総生産)が採用されてきました。しかし近年、GDPのみでは人々の「生活の質や豊かさを計れない」という声が相次いだことで、ウェルビーイングへの関心が高まるきっかけとなりました。その後ウェルビーイングの考えは世界各国へ広がり、国単位だけでなく、企業においても取り組みが進められています。ウェルビーイングの代表的モデルウェルビーイングにはいくつかの指標(モデル)があります。その代表的な指標の1つが、ポジティブ心理学の第一人者マーティン・セリグマン教授による「PERMA理論」です。また、アメリカの世論調査会社ギャラップ社も5つのウェルビーイング要素を提示しており、それぞれの項目は以下の通りとなっています。キャリアウェルビーイングキャリアというと「仕事」を連想しがちですが、この場合は地域の奉仕活動や勉強、あるいは子育てなどにも関連しています。これらの時間が充実していれば、キャリアウェルビーイングが高いと言えるでしょう。ソーシャルウェルビーイングおもに人間関係に関わるウェルビーイングです。家族や友人、「職場仲間と信頼関係が築けているか」や「愛情を持って接しているか」などが指標となります。ファイナンシャルウェルビーイング経済的な活動を表すウェルビーイングです。心身が健康・安全であるためには、財政の管理も大切です。「安定した収入を得ているか」や「資産があるか」といった要素で判断されます。フィジカルウェルビーイング健康状態に関するウェルビーイングとされ、身体的および精神的に健全であるかが指標となります。「仕事や生活を前向きに取り組めているか」ということも重要です。コミュニティウェルビーイング住んでいる地域社会との交流度や充実度を指します。地域の人々と積極的に関わり、幸福を感じているかが基準です。企業が取り組むウェルビーイングこうしたウェルビーイングの取り組みは、企業においても積極的に採用されています。例えばGoogleでは、オフラインで過ごすための独自のデジタルウェルビーイングが開発され、一時期話題となりました。また、日本のスポーツメーカー・アシックスでは、従業員の健康を第1に考えた「治療と仕事の両立支援」を行っています。さらに自動車産業で世界のトップを走るトヨタも、「幸せを量産する」ことをアジェンダとした新たなトヨタフィロソフィーを掲げ、ウェルビーイングの実現を公言しています。そのアジェンダとは、「幸せの量産」をミッションに健康第一の会社パートナーロボットの研究であり、社会全体におけるトヨタの役割を拡大させていく計画が掲げられています。日本人の幸福度は意外に低い?ウェルビーイングの取り組みが広まる中、先日「国際幸福デー」の3月20日、「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」(SDSN)が、毎年恒例となる「世界幸福度報告書」を発表しました。このランキングは、上述のアメリカ・ギャラップ社のデータを採用しており、次の6つの指標により決定されます。1人あたりの国内総生産(GDP)社会保障制度などの社会的支援健康寿命人生の自由度他者への寛容さ国への信頼度気になる日本の順位は・・・。2021年が56位、2022年が54位、今年2023年は47位となり8年ぶりに40位台に戻ったものの、先進国G7の中では最下位という結果に。そのため、今後さらなるウェルビーイングへの取り組みが求められるのは間違いありません。旅先で体験できるウェルビーイングこの結果には少し残念な気もしますが、ウェルビーイングには個人でできる取り組みも多くあります。なかでも、旅行は人生に大きな影響を与えるイベントとなる可能性を含んでおり、近年、個人の幸福や心身の健康を回復させることを目的とした「ウェルビーイングツーリズム」が話題となっています。ウェルビーイングツーリズムは、これまでの観光と異なり、ただ観光地を訪れるのではなく、リラクゼーション、スパ、ヨガ、瞑想、健康食を通じて心身のバランスを取り戻すことを重視した観光形態です。以下では、ウェルビーイングツアーの代表例を4つ紹介します。1.体を内側から整えるファスティングツアー「最近なんだか体の調子が悪いな」と感じている方には、ファスティング体験付きの旅がおすすめ。ファスティングとは、食事を摂らない「断食」のことです。断食と聞くと厳しいイメージがありますが、ファスティングはやり方が豊富なため、無理なく行えます。また、ファスティングすることで腸内環境が整い、デトックス機能も回復するので、体がスッキリするはずです。ファスティングプランは2〜3日間かけて行うものが多く、アドバイザーの指導の元で行うため、安心して取り組めます。旅先でゆっくりとした時間を過ごしながら、体質改善に取り組んでみてください。MiCORAYおすすめファスティング | 那須陽光ホテル (nasusunlight.jp)ファスティング | 天空の庭 天馬夢【公式】 (amamu.jp)やすらぎの里2.大自然の中でヨガ体験旅先でのヨガ体験も人気です。ジムでのホットヨガも心身のリフレッシュに効果的ですが、大自然の中で行うヨガは、気分も解放的になり心のデトックスにもつながります。深い呼吸法を用いて独特なポーズを取るヨガには、健康促進だけではなく、疲労感の回復や、睡眠の質の改善にも効果があるとのこと。大自然の中でのヨガは、より気分が解放され、ストレス解消効果も高まることでしょう。ツアーによっては「モーニングヨガ」や「サンセットヨガ」などもあり、日常生活では体験できない、穏やかな時間を体験できます。忙しい毎日に追われている方に、ぜひ取り入れていただきたいウェルビーイングです。MiCORAYおすすめHIS首都圏版箱根の山でヒーリングヨガ|箱根小涌園 天悠【公式】|全客室露天風呂付き 箱根の温泉宿 (ten-yu.com)ヨガプログラム|アクティビティ|NEMU RESORT ネム リゾート3.日本の文化を再発見、宿坊宿泊日本文化を再発見しながら、静かな時間を過ごしたい人には宿坊宿泊がおすすめです。宿坊とは寺社が提供する宿泊施設のこと。始まりは平安時代と言われ、江戸時代には爆発的な人気となったそうです。一般的なホテルや宿との大きな違いは、寺社に根付いた「文化を体験できる」ところ。多くの宿坊では朝のお勤めが行われるため、写経や読経、座禅などを体験するのも良いでしょう。また、宿坊の食事は精進料理が定番です。「日頃の感謝の心」とともに、普段の食習慣を見返す良い機会になるかもしれませんよ。穏やかな時間を体験することで、気持ちに余裕が生まれ、心のバランスも整うことでしょう。MiCORAYおすすめトラベルjp朝のお勤め | 真言宗智山派 総本山智積院 (chisan.or.jp)宿坊 | 高野山の宿坊 恵光院【公式サイト】(Koyasan Ekoin)4.食文化を意識したウェルビーイングツアーウェルビーイングな生活に欠かせないのが食事です。最近では、野菜や食肉などの生産者を直接訪問する旅行も人気があります。毎日の食事がどのように生産されているのかを知れば、食に対する関心が高まり、健康の向上やフードロスの改善にもつながります。自然に直接触れることは、心身のバランスを整えることにもつながるため、日頃からストレスを感じている方にはとくにおすすめです。また地域によってはジビエ料理を提供している施設もあるので、ジビエ料理好きの方にはうってつけかもしれません。日帰りバスツアーが多く、比較的手軽にウェルビーイングを体験できます。MiCORAYおすすめクラブツーリズム 国内旅行バスツアー東京 立川のウェルビーイングホテル【公式】SORANO HOTEL【公式】SHIROIYA HOTEL / 白井屋ホテル -アートで五感を満たす前橋のホテル-ウェルビーイングを意識して旅を楽しもう今回は、旅をテーマにウェルビーイングを紹介しました。観光名所や美味しい食事を楽しむのも、もちろん素敵なことです。しかしそこにウェルビーイングの視点を取り入れれば、いっそう旅が充実すること間違いなしです。今回紹介した以外にも、ウェルビーイングをテーマにした多くのツアーが企画されています。これから旅行を計画されている方は、そうした取り組みも参考にしつつ、旅先を選ぶのも良いかもしれません。ウェルビーイングを意識するだけで、今までとは違った体験ができると思いますよ!参考資料公益社団法人日本WHO協会Sustainable JapanWorld Happiness Report 2023PR TIMESミラシルTRAVEL WORKwelldayツアーサイトVERTAクラブツーリズム