最近、旅をしていますか?長く続いたコロナ禍も落ち着き、これから旅行を計画している人も多いのではないでしょうか。多様化するストレス社会の近年では、旅による心身の健康促進が注目されています。観光庁が提唱しているヘルスツーリズムという言葉をご存じでしょうか。ヘルスツーリズムは「自然豊かな地域を訪れ、そこにある自然、温泉や身体にやさしい料理を味わい、心身ともに癒され、健康を回復・増進・保持するもの」と定義されています。※1そのヘルスツーリズムをもとに、各自治体の観光業界では「旅と健康」をテーマに様々な活動を行っています。※2 このように、私たちの身のまわりでは、旅と健康に関する取り組みが国を挙げて行われているのです。そのことから、旅は私たちの「健康」や「幸福」に深く関係しているといえるのではないでしょうか。本記事では、旅が私たちに与える効果を解説し、旅でストレスを解消するポイントを紹介します。旅が心身に与える効果メンタルヘルスの向上旅行にいくという楽しみがあることで、メンタルヘルス(心の健康)が向上します。旅行へ行くことが決まると、準備の段階からワクワクした気分になりますよね。日常の先に楽しみがあると、日々の活力につながります。精神的な成長旅は精神的な成長も期待できます。楽しいだけでなく、旅先では予期せぬハプニングが起こることも。旅先で起こったハプニングは、基本的に自分たちで解決しなければなりません。その結果、状況判断能力が鍛えられ、精神的な成長が期待できるでしょう。脳のトレーニング旅行のスケジュール(いつ、どこで、何をするなど)を考えることは、脳の前頭葉が刺激されます。私たちの脳は目標を達成するために計画を立てたり、行動したりするときに「実行機能」がはたらいています。旅行のスケジュールを考え行動することは、実行機能のトレーニングにもなっているのです。※3リフレッシュ効果旅先で自然と触れることで、リフレッシュ効果が得られます。都会にいるときと森林浴を比較した環境省のデータでは、森林浴はストレスホルモンが低下し、免疫細胞の活性化、体がリラックスするときに必要な、副交感神経の活動が増加することが明らかになっています。※4 つまり、人は自然の中にいると体がリラックスし、気分がリフレッシュできるのです。健康意識の増進旅行に行くと健康への意欲がわきます。観光庁のアンケート調査によると、旅行経験者の約70%が体調管理への意識・意欲が増加したとあります。※5 旅行へ行くことで人生を楽しむ意欲が増し、また旅行に行きたいと思う気持ちが、意識の変化につながると考えられます。運動でストレス解消旅行中に体を動かすことでストレスを解消できます。旅先で観光地をめぐって歩いたり、アクティビティに参加したりと、体を動かすことで身体機能が活性化されます。楽しみながら行う適度な運動は、よいストレス発散になるでしょう。※6種類別でみる旅の効果旅には色んな種類があります。代表的な旅ごとにその効果をみてみましょう。温泉旅行温泉に入ることでストレスが軽減します。温泉は水道水と比較し、免疫細胞の亢進や、タンパク修復機能の変化(リフレッシュ効果)が証明されています。※4 湯の温度や温泉のにおい、景色、露天風呂で自然の音や風を全身で感じることで、リラックス効果も期待できるでしょう。さらに温泉は、疲労回復や血行促進、美肌効果など、それぞれの泉質ごとに効用があるといわれているのも体によい効果のひとつです。1人旅1人旅では自己肯定感が高まるといわれています。誰かに合わせることなく、自分だけの欲求を満たすことで、幸福感や自己肯定感を高めることができるでしょう。最近は1人旅のツアーなども充実しているため、初めての人でも気軽に1人旅ができます。1人旅で自分の心の声に耳を傾けることで、自分自身を客観的に見つめなおすこともできるかもしれません。海外旅行海外旅行は視野を広げてくれます。異文化に触れることで、あらためて日本の良さに気がつき、多様性を実感できるでしょう。また、言語の違いがあるなかでコミュニケーションをとるため、自然とコミュニケーションスキルが身につきます。帰国後は、社会情勢への関心や、学習意欲が高まるなど自身の成長も期待できます。旅でストレスを解消する3つのポイント様々な効果を解説してきた旅ですが、実はあるアンケート調査で、約7割の女性が旅行でストレスを感じたという結果があります。※7そのことから、よい旅をするためには旅先での過ごし方を意識することが大切といえるのではないでしょうか。そこで、旅でストレスを解消する3つのポイントを紹介します。1. 旅の目的を決めておく同行者と旅の目的の認識を統一しておくことが大切です。旅でストレスが溜まる理由の多くは同行者に対してです。時間への意識や金銭感覚が合わなかったり、相手に気を遣いすぎてしまったり。そのため、旅先でどんなことをやりたいか、どう過ごしたいか、などを事前に話し合っておくことをおすすめします。2. 余裕のあるスケジュール時間に余裕のあるスケジュールをたてましょう。旅行は、意外と移動で時間や体力を消耗します。予定をつめ込み過ぎると、時間に追われてしまいます。また、現地で何をするか決まっていないことが、人によってはストレスになることも。あらかじめ余裕のあるスケジュールを立てておくことで、焦ったり、慌てたりすることを防ぐことができます。3. 仕事は終わらせておく旅を最大限に楽しむためには、仕事で気になることなどは、事前に終わらせておきましょう。旅行中に仕事をする必要がある場合は、時間を決めて行うことをおすすめします。旅先でどうしても仕事のことが気になってしまう場合でも、自然を感じることに集中し、一度意識から離すことで気分がリフレッシュできるかもしれません。まとめ日常から離れた場所にいく旅は、楽しみや不安も全て含め、普段味わうことのできない刺激で私たちを成長させてくれます。いつもより少し意識をして準備をすることで、ストレス解消ができ、心身ともによい旅になるでしょう。人生を豊かにしてくれる旅へ、ぜひこの機会に出発してみてはいかがでしょうか。参考資料※1 観光庁|地域の資源を活用した環境地域づくりについて(ヘルスツーリズム)※2 自治体に広がるヘルスツーリズムの現状と参考事例 ※3 実行機能の評価の問題|M・レザック※4 環境省|データで見る国立公園の健康効果とは?|国立公園に、行ってみよう※5 厚生労働省|こころと身体のセルフケア※6 観光庁|旅行による効用の検証結果のとりまとめ※7 エアトリ|NEWS