ウェルビーイングとは、身体的にも、精神的にも、社会的にも、健康で豊かな状態のことで「幸福」と訳されることもあります。近年では国や企業によって、ウェルビーイングを向上するための様々な取り組みが行われているため、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。現在の社会はSNSなどの普及により、人間関係が希薄化し、ストレスへの耐性が低くなっているといわれています。さらにコロナ禍での生活様式の変化も、健康への不安要素のひとつです。そのような背景からも、ウェルビーイングが重要視されています。※1 ※2では、ウェルビーイングを向上するには具体的にどうすればよいのでしょうか?ウェルビーイングを向上する方法のひとつとしておすすめするのが「旅行」です。旅行は私たちに様々な刺激や、人生をよくするきっかけをあたえてくれます。心と体の健康によいアクティビティ(活動)などを提供する旅行を「ウェルネスツーリズム」や「ウェルビーイングツアー」といい、近年注目されています。※3本記事では、ウェルビーイングを向上する旅の特徴を解説し、日本でウェルビーイングツアーが体験できる施設を紹介します。ウェルビーイングツアーの特徴ウェルビーイングツアーでよく行われているアクティビティと、それぞれ期待できる効果をみてみましょう。ヨガ・瞑想・座禅で集中力アップウェルビーイングツアーで人気のアクティビティは、ヨガ・瞑想・座禅です。それぞれ違いはありますが、全てに共通するのは、マインドフルネスの状態(「今」に意識を集中しありのままを受け入れる)になること。マインドフルネスは、集中力の向上や、不安の軽減、睡眠の質が高まる可能性があるといわれています。※4日常から離れ、自然のなかでヨガなどを行うことで、さらにリフレッシュ効果も期待できるでしょう。運動でメンタルヘルスケア健康においてかかせないのが運動です。登山やハイキングで大自然のなかを歩いたり、ホテルのプールで泳いだりと、適度な運動をすることで身体機能が活性化されます。身体機能が活性化すると、メンタルヘルス(こころの健康)も向上するといわれています。※5普段は運動するのが困難でも、旅行先なら気軽に取り組むことができるかもしれません。温泉でリラックス日本では、昔から長期的に温泉地に滞在し病気を治療する湯治(とうじ)が行われているように、※6、温泉は本来の生体反応(免疫力など)を引き出す効果があるといわれています。泉質によっても様々な効能があり、さらに自然のなかで温泉に入ることでリフレッシュやリラックス効果も期待できるでしょう。※7ヘルシー食やファスティング(断食)ウェルビーイングツアーでは、マクロビ食やファスティング、発酵食などのプランがあります。また、地元で採れた新鮮な食材を味わって食べるだけでも心身が癒され、ウェルビーイングの向上になります。芸術でこころの健康芸術に触れるとこころが癒されるといわれています。旅先で、芸術祭や美術館をめぐるプランもおすすめです。※8また、見るだけでなく創作活動は私たちによい刺激をあたえてくれます。創作活動は、絵画や陶芸などもそうですが、写真やブログなど身近なものも含まれるため、旅行をきっかけに始めてみてもよいかもしれません。日本のウェルビーイングツアーの取り組み日本でウェルビーイングツアーが体験できる施設5選を、地域の特徴と合わせて紹介します。1. 京都府 京都市 東福寺京都市東山区にある東福寺では座禅体験ができます。東山区には清水寺や八坂神社など、多くの歴史的建造物があるため、京都の街を散策しながら歴史の趣を感じるのもよいでしょう。※9東福寺毎週日曜日の朝に座禅会が開催されています。初心者でも参加可能。また、座禅だけではなく説法(仏の教えを説き伝える)などにも参加してみると、自己啓発につながるようなきっかけがあるかもしれません。2. 沖縄県 宮古島 リゾナーレ小浜宮古島はビーチヨガやマリンスポーツをするには最適な環境です。宮古島は宮古ブルーといわれる、碧く澄んだ海に囲まれた南の島で、夜には満天の星がみられます。※10星野リゾート|リゾナーレ小浜モーニングビーチヨガや、月明かりの下で行うナイトビーチヨガ、海風を感じながら入るサウナなどの体験ができます。ほかにも様々なアクティビティを提供していて、ゆっくりした時間を過ごしながら、宮古島の自然を感じられるプランが充実しています。3. 鹿児島県 指宿市(いぶすきし)白水館九州薩摩半島の最南端にある指宿市は、海や湖などの広大な自然に恵まれた温泉地です。指宿温泉や砂むし風呂が有名。また、指宿市にある池田湖は、薩摩富士とよばれる美しい開聞岳(かいもんだけ)が望めます。※11鹿児島 砂むし温泉 指宿 白水館白水館では美肌の湯と称された温泉や、砂むし温泉に入れます。館内には「薩摩伝承館」という美術館があり、日本の歴史や文化に触れることができるでしょう。4. 静岡県 伊豆市 アイウェルネス海山川に恵まれた自然のなかで、ファスティング(断食)を体験できます。ほかにも、2021年東京オリンピックでの自転車競技開催地である修禅寺では、自転車ツアーを行える施設もあり、大自然のなかのサイクリングツアーも楽しむことができます。※12アイウェルネス 伊豆高原ファスティングホテルアイウェルネスのファスティングは、ヘルスツーリズム認証※13を受けたプランもあり、ヘルスケアサービスの品質が保証されています。そのため、初めてでも安心してファスティングを体験できるでしょう。アイウェルネスでは1人での利用客が約8割となっていて、団体行動が苦手な人でも行きやすい施設といえます。5. 北海道 虻田郡(あぶたぐん)ルスツリゾート北海道の大自然の中にあるルスツリゾートでは、ウェルネスチェック(健康コンシェルジュによる健康チェック)を受けられます。近郊には羊蹄山(ようていざん)や、洞爺湖(とうやこ)、ニセコ町などがあり、豊かな自然をおもいきり体感できます。※14ルスツリゾート|ルスツリゾートホテル&コンベンションルスツリゾートは、広大な敷地で北海道を代表するリゾート地です。夏はゴルフ、冬はスキーなど1年を通してアウトドアスポーツができます。地元の新鮮な食材を使った料理や温泉で心身ともに癒されながら、ウェルネスチェックを受け、自身の健康を見つめなおすことができるでしょう。まとめ日本には自然を感じられる名所がたくさんあります。日常を離れて自然のなかで深呼吸をするだけでも、心と体が癒されることでしょう。ウェルビーイングツアーが体験できる施設や地域などを紹介しましたが、心地よいと感じる価値観は人それぞれ違います。今回紹介した内容が、少しでも旅先の過ごし方の参考となれば幸いです。参考文献※1 厚生労働省|テレワークにおけるメンタルヘルスケアの手引き※2 厚生労働省|雇用政策研究会報告書 概要(案)※3 国立大学法人琉球大学|ウェルネスツーリズムとは※4 厚生労働省|eJIM|瞑想とマインドフルネスについて知っておくべき8つのこと※5 厚生労働省|身体を動かす|こころと体のセルフケア※6 国立国会図書館|本の万華鏡|湯治場としての温泉※7 環境省|温泉療養のイロハ※8 文化庁|文化に関する世論調査|ウェルビーイングと文化芸術活動の関連※9 京都市観光協会|京都観光Navi※10 宮古島観光協会公式情報サイト|Meets More MIYAKOJIMA※11 指宿市|指宿観光ネット※12 伊豆市 観光情報 特設サイト|IZU CITY※13 ヘルスツーリズム認証委員会|ヘルスツーリズム認証とは※14 ニセコリゾート観光協会|公式サイト