日本人の自己肯定感は、諸外国とくらべて低いのをご存じでしょうか。内閣府による「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年)」によると「私は自分自身に満足している」に対してYesと回答した日本人は45.8%。それに対して、アメリカ人は86%と倍ほどの違いがあります。自己肯定感の高さは幸福度とつながり、ウェルビーイングにも関係してきます。なぜ日本人の自己肯定感は低く、反対にアメリカ人の自己肯定感は高いのでしょうか?そこで今回は、アメリカ人と日本人の自己肯定感の違う理由を考え、自己肯定感をあげるために、アメリカ人から見習うとよい行動を解説します。自己肯定感とは自己肯定感とは「自分の価値を認識し、認めている心の状態」です。自己肯定感が高いと、自分を信じることができ、精神的に安定した状態です。物事にも柔軟に対応でき、色んなことにチャレンジする前向きな気持ちが湧いてくるため、幸福度もあがります。もちろん人はつねに前向きでいられるわけではありません。傷つき、落ち込むこともあります。そんなときでも自己肯定感が高いと、傷が回復していくように、マイナスな感情をプラスにかえていくことができるのです。アメリカと日本の違いアメリカと日本では、幼少期からの教育やコミュニケーションに違いがあり、そのことが自己肯定感にも影響しています。それぞれの特徴をみてみましょう。日本はルールを守る文化日本人は、まわりの空気やルールを大切にするあまり、自分の意見を伝えるのが苦手という特徴があります。日本では幼少期から、他者と協力・協調するように教えられます。そのため、日本人は自分の意見を主張するよりも、ルールを守ることを重要視する傾向があるのです。また、日本のコミュニケーションは、昔から言葉で直接伝えるのではなく「あうんの呼吸」のように「空気を読む」や「ニュアンスで察する」ことを美徳とした文化があります。そのことからも、日本の自己肯定感が低い要因として、自己主張の少なさが影響しているといえるのではないでしょうか。アメリカは自立心を育てる文化アメリカでは、自分の意見や考えを伝えられる子が「よい子」という認識です。そのため、幼少期から自己主張できるように教えられます。とにかくよくほめるのもアメリカの子育ての特徴ですが、その根底には「自信をつけて自立心を育てる」という目的があるのです。ほめ方もわかりやすく、たとえば「I’m proud of you!(あなたを誇りに思う!)」など、日本人からすると大げさに感じるくらいの、言葉やリアクションで表現します。また、アメリカでは、雰囲気やニュアンスではなく、はっきりと言葉でコミュニケーションをとります。そのため、自分の意見を言葉で伝え、相手の意見も聞く、という言語的コミュニケーション力が自然と育まれるのでしょう。アメリカと日本のどちらがよいかは決められません。しかしアメリカ人のように、自己主張ができるということは、自分に自信があるということです。つまり、自己主張や自己表現ができることは、自己肯定感をあげることに関係があることがわかります。自己肯定感をあげるためにアメリカ人から見習いたい行動3選自己肯定感をあげるためには、どうすればよいでしょうか。アメリカ人をお手本にし、自己肯定感をあげるための行動をみてみましょう。自分や他者をほめる自己肯定感を上げるには、ほめる(よいと感じたことを認める)ことが大切です。アメリカ人は、相手が子どもか大人かは関係なく、よいと思ったらとにかくほめます。大人になって誰かからほめられると、ちょっとうれしい気持ちになりませんか。あるいは、ほめたことで相手が笑顔になると、自分もよい気持ちになりますよね。もちろん無理にほめる必要はありませんが、よいと思ったことを素直に伝えられることは自己表現のひとつです。また、ほめられたときには「そんなことないよ」と否定するのではなく、素直に「ありがとう」と伝えましょう。そうすると相手も「言ってよかったな」と、お互いによい気持ちになるはずです。他者をほめるのが恥ずかしい場合は、自分自身を「今日は〇〇をがんばった!えらい!」と毎日声に出し、ほめてみてください。自分を肯定的にとらえる習慣が身につくと、自己肯定感は自然と高まっていきます。自分の評価は自分で決めるまわりの評価を気にするのではなく、自分の評価は自分で決めましょう。アメリカは個人主義といわれており「人は人、自分は自分」という考えがはっきりしています。「まわりにどう思われるか」よりも「自分がどう思うのか」そして「なぜそう思うのか」と自分軸で物事を考えます。自分勝手に思えますがそうではなく、自分はかけがえのない存在であることを知っているのでしょう。だからこそ、相手も自分と同じように価値のある存在と認めることができるのです。自分の評価を自分自身で行うことで、よいところも悪いところも認めることになり、自尊感情(自分には価値があると思える感覚)を育むことにもなります。困ったときは助けを求める困ったときは、自分1人でなんとかしようとせず、誰かに助けを求めましょう。日本では何でも自分で解決するのが「自立」と思う傾向にありますが、アメリカはそうではありません。アメリカでは困ったときに助けを求めることが、責任感のある行動として信頼につながります。1人で解決しようと、オーバーワークをした結果体調を崩すよりも「できないのでサポートしてほしい」と言えるほうが、状況判断ができているとなるのです。また、人は誰かを助けることで自分自身も救われます。困っている人がいたら、できる範囲で助けてあげるとよいでしょう。「誰かの役に立っている」と感じることで自己有用感(自分は何かの役に立っているという感覚)を高めることになります。まずは自分を知ることが大切多くのアメリカ人のように、自己肯定感が高い人は、自分自身のことをよく知っています。自己肯定感をあげたいと思っているとしたら、まずは「自分が人生において何を大切にしているか」を知ることからはじめるとよいでしょう。自分が大切にしているものを知ることは、自分を肯定的にとらえることにつながります。仕事や家事・育児と忙しい毎日を送っていると、目の前のことで手一杯になり、自分の好きなことを見失ってしまうこともあるでしょう。どんなことにワクワクし、何をしているときに楽しいと心から感じていますか?この機会に、ゆっくりと自分をみつめなおしてみるのもよいのではないでしょうか。参考文献「高校生の生活と意識に関する調査」における国際比較|文部科学省ウェルビーイングの向上について(次期教育振興基本計画における方向性)「自己肯定感(じここうていかん)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書何があっても「大丈夫。」と思えるようになる 自己肯定感の教科書 | 中島輝習慣化は自己肯定感が10割 | 中島輝 子どもの自己肯定感がぐんぐん上がる アメリカ式子育てマジックフレーズ|シノブ・フィリップス参考資料自己肯定感がぐんぐん高まる心の最強メソッド【前編】幸せな気持ちで明日へいこう。スリー・グッド・シングスのすすめ | キナリノ自己肯定感を上げる「アメリカ式」子育てとは!? 自立心、自尊心、生き抜く力を強化するマジックフレーズを紹介! - レタスクラブ子どもの自尊心を育む!アメリカのママから学ぶ3つのポジティブ・フレーズ