みなさんは宿坊をご存知ですか?「聞いたことない」「知ってるけど行ったことはない」「もう体験済み!」など人によってさまざまでしょう。実は、宿坊は意外と身近にある施設。近年、外国人観光客にも人気が高まってきています。お寺や神社に泊まって宿坊体験をすることで、「気持ちがスッキリした」「すがすがしい」「自然と感謝の気持ちがわいてきた」など心にも変化があらわれる方が多いそうです。自分と向き合いたい方や、静かでゆっくりとした時間を送りたい方に特におすすめです。本記事では、宿坊について、ウェルビーイングにつながる体験やおすすめ施設をご紹介していきます。宿坊とは宿坊とはお寺や神社などの境内にある宿泊施設のことです。もともと宿坊は、僧侶のためにお寺の近くに設けられた住居でした。それが、いつ頃からか参拝客が泊まれる施設になり、現在も宿坊の歴史が続いています。宿坊の醍醐味はなんといっても「おつとめ」。おつとめの種類は宿坊によってさまざまで、座禅、法話、写経などがあります。貴重な文化財の数々を身近に感じられるのも宿坊の魅力。美しい庭園や、歴史ある建築物、絵画などをじっくり鑑賞できます。また、食事の内容も宿坊によってさまざまです。旅館並みのこだわりの料理を出したり、精進料理と懐石料理を選べる所もあります。また、周りに飲食店の多い地域の宿坊ですと、素泊まりのプランがある場合もあるので、好みで選んでも良さそうです。宿坊でできるウェルビーイング体験宿坊でどのような体験ができるでしょうか。ウェルビーイングにもつながる、宿坊でできる体験をご紹介します。1.座禅本来の自分と向き合うと言われる座禅。座禅とは心のなかの不要なものを取り除き、自分の中にある清浄な心に気づくことなのだそう。体を整え、呼吸を整え、心を整えて行うことが大切です。座禅によって、呼吸や心の状態に意識を集中させることで、心を静め、心地よいリラックス感を得ることができるでしょう。2.写経写経は、仏教の教えである経典をうつす修行です。写経の行為は、心を集中させるための修行です。一文字一文字、神経を集中させ、ていねいに書いていくことで、思考を整理し、心を落ち着かせる効果があります。経典の内容に触れることは、心を清らかにし、思いやりの心を培うことができます。また、集中して書き終えたときのすがすがしさは日常では得がたい感覚だそうです。3.精進料理「精進」という言葉は、仏教用語で「仏の道に専念すること」という意味。精進料理は仏教の教えに基づいたもので、生きているものを殺してはいけないという「不殺生戒」と命を大切にする心で作られています。精進料理は作ることも食べることも修行のうちとされています。宿坊の中には、調理を体験ができるところもあるので、ご希望があれば調べてみるのもおすすめです。静かな環境でゆっくりと食事をかみしめるひとときは、自然の恵みへの感謝の心が湧き、食材本来の味を味わう心穏やかなときとなるでしょう。4.朝勤行(あさごんぎょう)普段なかなか体験できないお坊さんの世界。毎朝、僧侶が行う朝のおつとめが朝勤行です。宿坊によって内容はさまざまですが、朝食の前に読経や法話を聞くことが多いです。また、歌のように節をつけてお経を唱える声明(しょうみょう)や、火に供物をくべて煩悩を焼きつくし、願いを天に届ける護摩行が行われる宿坊も。朝勤行は、宿坊に泊まらないとできない貴重な体験です。静寂のときの流れを感じ、お坊さんがあげるお経に耳を傾けて祈ることで、深く自分と向き合い、心が穏やかに整っていく感覚が得られるでしょう。おすすめ宿坊施設 5選ここからは、全国の宿坊施設をご紹介していきます。ぜひ気になる宿坊をチェックしてみてくださいね!1.【東京都】山楽壮東京都青梅市の御岳山の自然と調和した宿坊の山楽荘。古くから多くの文豪・墨客・画家・写真家等に愛され、多くの作品が残された館内は美術館の趣きがあります。また、大自然が育んだ天然食材や薬草、自家栽培の有機野菜をつかった薬膳料理をいただけます。薬草をブレンドした薬草風呂は身体の芯まで温まると評判で、心身ともに深くリフレッシュできるでしょう。朝は6時半からはじまる「おつとめ(朝のお参り)」に参加できます。希望者には滝行やチベットの儀式でつかわれるシンキングボウルをつかったセラピーも実施しています。宿坊 神乃家 山楽荘 (mitakesan-raku.com)2.【埼玉】大陽寺奥秩父にひっそりとたたずむ大日向山・大陽寺は、鎌倉時代に創設された由緒ある禅寺です。江戸時代には女性が参拝できる数少ない寺社として「東国の女人高野」と言われていたそう。また、標高800メートル、夜には満天の星が輝く「天空の寺」として人気が高まっています。山門を入ると、江戸時代中期に建てられた本堂がお目見えします。山々の眺めが美しい境内。テレビもなく、携帯電話もつながらない環境。静寂のなか、ただいるだけで心が浄化されそうですね。座禅や朝夕のおつとめは自由に参加できます。写経や法話の時間もありますが、自分で選んで過ごすことができます。「縁側に座って景色をながめてもいいし、座禅をしてもいい。この寺では肩の力を抜いて、ありのままの自分でいればいいのです」という住職の言葉が染み入ります。天空の禅寺 大陽寺 <宿坊・座禅・写経・精進料理> (taiyoji.com)3.【京都】鹿王院嵐電鹿王院駅から徒歩2分とアクセスの良い、女性限定の宿坊です。足利義満が建てたことでも有名で、山門に書かれた「覺雄山」の文字は足利義満直筆とのこと。また、紅葉の名所としても有名です。客殿までの参道は山門からつづく枯山水の庭園が美しく広がり、緑の苔と白砂の美を堪能できます。また、歴史を物語る重要文化財や古文書など多くの宝物が所蔵されていて、弥勒菩薩をはじめとした数々の仏像も拝観できます。実際に拝観した方からは「拝観できる仏像がとても素晴らしいです。このお寺では身近にしっかりと拝観することができます。しかも、とても歴史のなる仏像が拝観できるので、とてもありがたく思いました。」というお声も。歴史を感じながら、静寂な境内で過ごす時間。日常の喧騒から離れ、心身ともにリフレッシュすることができるでしょう。鹿王院 公式サイト (rokuouin.com)4.【奈良】玉蔵院玉蔵院は聖徳太子によって開かれた由緒あるお寺で、奈良県の信貴山にあります。山の中腹を銀色に輝く巨大な地蔵仏、崖からはみださんばかりの本堂などに彩られています。ご本尊「毘沙門天王」さまは、「寅の年」「寅の日」「寅の刻」に聖徳太子の前にあらわれたとされ、寅が寺のシンボルとなっています。修行体験は法話、写経、写仏、読経、阿息観(瞑想)の他、108回礼拝を繰り返し行う「百八礼」や僧侶・尼僧体験も希望によりできます。実際に玉蔵院でによると、宿坊体験した方によると「百八礼はスクワットを108回行うのと同じような感じなので、正直結構疲れました。でも、行っているうちに心が穏やかになったり、考え方がクリーンになっていくのを感じました。」とのこと。また、写経体験では「心を無にして、黙々と言葉を綴りました。上手には書けたとは言い切れない出来栄えでしたが、何とも言えない達成感を味わうことができました。」というお声。心身ともにリフレッシュできそうですね。信貴山大本山 玉蔵院 | 大阪・奈良の県境にある祈祷寺・宿坊 (gyokuzo.com)奈良県信貴山で、1泊2日の修行体験をしてみた | たびこふれ (tabicoffret.com)5.【和歌山県】高野山 福智院およそ5千坪の敷地の高野山でも最大規模の宿坊。山門をくぐり、目の前に広がるのは、日本の庭園史に革命をもたらしたとされる重森三玲作のモダンな庭園です。境内には三玲作のそれぞれ趣が異なる3つの庭園が広がります。ロビーに足を踏み入れると、仏像や古美術品の数々に目が奪われます。さらに、福智院は、高野山で唯一、天然温泉に入れる「癒し」の宿坊。大浴場の他に露天風呂や低温ハーブサウナもあります。温泉につかり、名園を愛でる時間は心が癒されるでしょう。また、写経体験の他、しめ縄の代わりにかける縁起物の切り絵「宝来」作り体験もできます。天然温泉と精進料理の宿坊・高野山「福智院(Fukuchiin)」|宿坊のお部屋、施設のご案内おわりに宿坊についてお届けしました。宿坊に泊まることで、日常からはなれ、静かにじっくりと自分と向き合う時間となるでしょう。座禅や写経などの体験も、時間をとりじっくり行うことで、リフレッシュ感や気持ちの変化を感じるかもしれません。雰囲気や体験できる修行も施設によってさまざまです。気になる体験や見たい文化財や庭園などをチェックして、よかったら宿坊に足を運んでみてはいかがでしょうか。★MiCORAYピックアップ★・高野山の宿坊 公式ガイドBOOK エイ出版社 (2018/7/20)https://amzn.asia/d/ilK9alZ・宿坊さんぽ 著者 上大岡トメ KADOKAWA/角川書店 (2015/2/19)https://amzn.asia/d/00Mm8hM・とっておきの宿坊を楽しむ!: 仏像・精進料理・写経 (趣味工房シリーズ NHK直伝和の極意) NHK出版 (2010/5/1)https://amzn.asia/d/0YIDy9n