生きていると起こるいろいろな出来事。楽しいこと、嬉しいこともあれば、つらくて悲しいと思うことも起こります。まさに、人生は山あり谷あり。出来事によっては「ショック」「失敗した」「もうイヤだ」と思うこともあるでしょう。しかし、同じ出来事でも人によっては全くちがう見方をする場合があります。起こった出来事への見方のヒントを知っておくと、自分の気持ちを選ぶことができます。自分の感情を選ぶことができると、さまざまなことが起こる現代社会において、すこやかに生きるためのテクニックのひとつとなるでしょう。本記事では、起こった出来事の見方による影響と、視点を広げるヒントについてお届けいたします。出来事をどう見るか?例えば、楽しみにしていた旅行。出発当日に雨が降っている場合、どのように感じるでしょうか。「せっかくの旅行なのに雨、何てついていないのだろう。」と思うこともできれば、「雨の旅行は晴れの旅行とはちがう良さがあるかも。楽しもう!」と思うこともできます。どちらを選ぶかは、自分で決めることができます。同じ出来事でも、見る視点のちがいにより、全くちがう意味をもつのです。出来事の見方による影響このような同じ出来事に対しての視点のちがいによってどのような影響があるでしょうか?先ほどの旅行の雨の例で言うと、「ついていない。」と思っていれば、その日の気持ちも下がります。「晴れだったら楽しかったはずの旅行」と思っていると、雨の良さになかなか目がいかないものです。晴れているときの満足度を100とすると、雨で「ついていない。」と思ったときは70、60の満足度になってしまうかもしれません。しかし、「雨の旅行の良さがある。」と思っていた場合、気持ちは下がるどころか上がっていくでしょう。「雨の中の紫陽花は趣があるな。」「いつもは混んでいる観光地がすいていてゆっくり観光できた。」「晴れだと予定していなかった室内のアクティビティをやってみたら面白かった。」などと、雨だからこその良さに目が向くようになるのではないでしょうか?良いところに視点をもった旅行は、おのずと満足度があがります。つまり、出来事のとらえ方によって、同じことをしても不幸、つまらないと感じられるか、しあわせ、満足と感じられるかが変わってくるのです。ひとつひとつは小さなことでも、この視点のちがいがわたしたちの日々の幸福度に大きく影響していくのではないでしょうか。出来事の見方を広げるヒントここからは、出来事の視点を広げるためのヒントをお届けします。1. 視点の切り替えトレーニングと考える同じできごとでも、表から見るか裏から見るか、人によって見方はちがいます。はじめに思ったこととちがう見方は出来ないか考えてみましょう。考えてみる時には、自分以外の誰かだったらどうとらえるかの視点がおすすめです。尊敬する人を頭に思い浮かべ、その人だったらどう考えるだろうと想像してみましょう。例えば、「大事な試験に落ちた」という場合。「あんなに勉強したのに落ちるなんて、もうダメだ…」と思い浮かんだとしても大丈夫です。その時はトレーニングだと思って、ちがう視点で考えてみましょう。もし、憧れの野球の大谷選手だったら、このピンチをどうとらえるだろう?と考えてみる。すると「落ちたとしても、それまで勉強したことは自分の力になっている。」「また勉強したら、もっと力がつくはず。」「次までに出来ることをやってみよう」などと、ちがう視点が思いつくかもしれません。はじめはなかなか思いつかない場合も、何度か考えるうちに、思い浮かぶようになります。視点切り替え力の筋トレのイメージです。視点切り替え筋力がついてくると、出来事を多面的にみることができるようになり、落ち込む出来事があったとしても、しなやかに気持ちを切り替えることができるでしょう。2. 成長や学びの機会ととらえるなにか失敗した、困ったと思う出来事が起こったときに、渦中はとても苦しくつらいこともあるかもしれません。しかし、苦難を経験してきた方が、後から考えると「学びがあった。」「成長するために必要だった。」と語られることも多くあります。出来事はどんなものでもその人の経験として、人生に蓄積されていきます。楽しいこと、幸せなことが起きたときも、困難に直面したときも、人はいろいろな感情が起こるでしょう。そこから何を得て何を学ぶのか。そのひとつひとつがその人の年輪となって、人としての器の深さにつながっていきます。どんな出来事に対しても「成長や学びのタネ」だと思ってみる。すると、すべてのことに意味があると思えポジティブにとらえられるのではないでしょうか。3. 自分でコントロールできることか?の視点をもつ出来事には、自分で変えられる=コントロールできることと、自分では変えられない=コントロールできないことがあります。コントロールできることに対しては、できることを考えたり行動にうつすことに意味があります。しかし、コントロールできないことに対して、心配しすぎたり、あたふたしても状況を変えることはできません。例えば、「TOEICの点数を200点あげたい。」と思った場合。点数をあげるために、過去問を解いたり、毎日リスニングを練習したりとできることはあります。これはコントロールできることです。そして、いざ試験を受けその結果を待つとき。この時点では、試験の結果についてはコントロールできません。「点数がとれてなかったらどうしよう。」「あまり出来なかった。」と思ったとしても、結果は変わりません。自分でコントロールできないことに悩んだとしても結果は変わらない。この視点をもつと、いい意味であきらめがつきます。「考えても変わらないなら、悩むのはやめよう。」と思えたらしめたもの。出来事に向き合うとき、気持ちが少し楽になるヒントのひとつになります。4. 事実と感情をわけて考える出来事が起きたときに、事実と感情をわけて考える視点をもつこともおすすめです。事実と感情をわけるとは、実際に起きていることと自分が感じたことや思ったことを分けて考えるという意味です。例えば、ある人の次のような場面があった場合、どのように考えるとよいでしょう?「職場でミスをしてしまった。必要な報告をして、ミスの対処をした。自分はひどく落ち込んでいて、「なんであんなミスをしてしまったのだろう。」と不甲斐なさを感じる。ふとフロアを見渡すと、上司や同僚がひそひそと話をしている。こちらをチラッと見て話をやめて仕事に戻っていった。あれはきっとわたしのことをわるく言っているにちがいない。あぁ、もうイヤだ……」ここで、「事実と感情をわけて考える」視点をもつと、事実は「職場でミスをした。ミスの対処をした。上司と同僚が話をしていた。話終わると仕事に戻っていった。」になります。それに対して感情は「ミスした自分に不甲斐なさを感じた。上司と同僚が話しているのはわたしのことをわるく言っているにちがいないと感じた。もうイヤだと感じた。」になります。ここでのポイントは上司と同僚が話している内容はわたしには分からないけれど、自分自身でわるく言っているにちがいないと決めてしまっているところにあります。つまり、事実かどうかは不明なのに、そこに自分の感情による解釈が入るため、マイナスの視点になってしまっているのです。自分が思ったことは本当だろうか?自分の感情によって、事実に意味付けをしてないか?と一度立ち止まって考えてみる。このワンアクションが物事をフラットにみる時に有効です。人の感情は人間ならではのすばらしいもの。しかし、時に感情にのまれすぎて、出来事を深刻にとらえすぎてしまうのも、人間ならではと言えるでしょう。そのような人の思考の特徴を知ったうえで、困ったときには「事実と感情をわけて考える」視点をもつ。すると、困っていることは事実ではなく、自分の感情によって「困ったこと」と決めてしまっていると気づく場合もあるでしょう。「事実と感情をわける」視点により、実際に起こっていることは何なのかと冷静に見ることにつながります。まとめ出来事のとらえかたとその影響、とらえ方のヒントをお届けいたしました。同じことでも、受け取り方によりちがう意味をもちます。人は落ち込んだり、悲しみにふけることも時には必要です。少し憂鬱だなという日ももちろんあります。ただ、そのような時も、もとに戻ってこられる力があると心地よく生きることにつながるでしょう。こういう視点がある、こんなとらえ方があると頭のすみに置いておくことで、日々の暮らしのウェルビーイングを高めていけたらいいですね。