「今日は身体の調子がいいな」という時、心はどんな状態か見つめてみたことはありますか?頭がよく働き、身体の調子も良好、日常のパフォーマンスが上がっている時の心の状態はどのようなものでしょうか?きっと多くの方が、安定してる心の状態を思い浮かべるのではないでしょうか?心と身体は密接に関係しています。心の健康は身体の健康とウェルビーイングに大きな影響を与えることが分かっています。心の健康と身体の関係を知っておくことは、ウェルビーイングな日常を過ごすためにきっと役にたつでしょう。本記事では、心の健康が身体に与えるポジティブな影響と心の健康をケアする日常のヒントをお届けします。心の健康とは?”こころの健康とは、いきいきと自分らしく生きるための重要な条件である。具体的には、自分の感情に気づいて表現できること(情緒的健康)、状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること(知的健康)、他人や社会と建設的でよい関係を築けること(社会的健康)を意味している。人生の目的や意義を見出し、主体的に人生を選択すること(人間的健康)も大切な要素であり、こころの健康は「生活の質」に大きく影響するものである。”出典:休養・こころの健康|厚生労働省 (mhlw.go.jp)心の健康とは、自分が自分らしく生きるために大切なものです。いきいきと自ら人生を選択していくことや、日常生活の質にも心の健康状態は大きく影響しています。心と身体の関係また、心は身体と密接な関係にあります。「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ」はアメリカの心理学者、ウィリアム・ジェームズの名言です。「悲しいから泣くのではない、涙が出るから悲しいのだ」という言葉もあります。アメリカの行動医学の大家ジェームズの言葉です。このふたつの名言はまさに、心と身体の関係を解説しているといえるでしょう。最近は、生物学的にもこの言葉が証明されてきているそうです。”近年この関係について生物学的アプローチによる解明がなされて来ました。脳の中も含め、からだの中では自律神経系・内分泌系、それに免疫系が複雑にクロストークしながら心と身体の関係を微妙に調節しているというわけです。”出典:こころとからだ | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)心の状態は、自律神経系、内分泌系、免疫系と密接に関係しており、身体との調節をはかっているのです。頭がすっきりとしている、寝起きが良かった、フットワークが軽くなったなどの状態のとき、心が安定しているなと感じる方も多いのではないでしょうか。心の健康が身体にあたえる4つの影響心が安定していて健康と言えるとき、身体にあたえる影響をくわしく見ていきましょう。4つのポジティブな影響をご紹介します。1. 血圧、心拍数が安定するストレスを抱えている時に、脈拍を速く感じた経験はありませんか?ストレス状態では、呼吸が浅くなったり、血圧が上がる傾向もあります。慢性的にストレス状態が長く続くことにより、心疾患のリスクを高める可能性があります。では、心が健康なときはどうでしょう?心が健康な時のポジティブな身体への影響として、血圧、心拍数が安定する傾向が確認されています。安定した心の状態は、血圧、脈拍、呼吸などを整える効果があるのです。さらに、血圧や心拍数の安定により、心臓に関わる血管系へもよい影響を与えます。心筋梗塞や狭心症などの心臓に関わる病気のリスクの低減につながります。2. 免疫機能がUPする心が健康だと免疫力も向上します。細菌、ウィルスなどの病原体が身体に入ることにより引き起こされる感染症。この感染症に対しての抵抗力も向上することが分かっています。普段、「今、メンタルがやられている……」と思っているときほど、風邪や体調不良になった経験は誰しもあるのではないでしょうか。そのような時は、心の状態から免疫機能が低下していることも原因のひとつかもしれません。免疫をあげるためにも、ストレスを解消して心を健康状態にするのは効果的です。3. お腹の調子を整える心の状態は、胃酸の分泌や腸運動にも密接に関わっていることが分かっています。ストレスも少なく心が安定した状態だと、胃酸も正常に分泌され、消化を助けます。また、胃潰瘍や便秘など、消化器系の問題のリスクが減少することも明らかになっています。心の健康はお腹の健康にもつながっているのです。 腸は「第2の脳」とも言われています。腸の神経細胞の数はおよそ1億あるそうです。これは臓器の中で、脳に次いで2番目の多さ。さらに、脳と腸は神経線維でつながっていて、密接に連携しています。脳と腸がお互いに影響を及ぼし合う関係を「腸脳相関」と言います。ストレスを感じるとお腹が痛くなるのも、腸脳相関の一種です。心が安定していることは、すなわち、脳のリラックス状態につながります。脳と腸は影響を及ぼしあうので、健康な心の状態は腸にも良い影響があると言えるのです。4. 良質な睡眠へと導く心配ごとがあって眠れない、寝ても寝た気がしないと感じたことはありませんか。心の状態は睡眠にも影響します。ストレスが少なく、リラックスした状態は睡眠の質も向上させ、良質な睡眠へと導きます。 睡眠は人にとって欠かせないもので、大切な役割があります。身体の疲れをとり、精神を安定させること、免疫力の向上や記憶の定着や整理などにも関係しています。他にも、成長ホルモンの分泌を促す効果や、太りにくい身体にする効果なども知られています。心が健康で良質な睡眠をとることは、人間の身体にとって大きなメリットがあると言えるでしょう。心の健康のために日常で行うおすすめケアここからは、心の健康のための日常で手軽に行える3つのおすすめケアをご紹介していきます。心をちょっぴり軽くするために、取り入れやすいものから取り入れてみてくださいね。1. 呼吸法を意識する呼吸は気持ちを整える効果があります。腹式呼吸で呼吸を意識してみましょう。”呼吸の基本は「ちゃんと吐く」ことから。まずは「いーち、にー、さーん」と頭の中で数えながら、ゆっくりと口から息を吐き出します。息を吐き出せたら、同じように3秒数えながら、今度は鼻から息を吸い込みます。これを5~10分くらいくりかえします。”出典:腹式呼吸をくりかえす|こころと体のセルフケア|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省 (mhlw.go.jp)ゆっくりと吐いてから鼻から息を吸い込む。深い呼吸は心を安定させるのに効果的です。2. 気持ちを紙に書き出す今、思っていることを紙に書き出してみましょう。頭の中のモヤモヤしたことや、気になっていることを思いつくままに書き出します。精神科医樺沢紫苑先生の著書『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』によれば、脳科学的にも「言葉」には不安を鎮める効果があるとされています。自分の気持ちをいったん外に出すことで頭が整理されます。スッキリと、気持ちが落ち着いてくる効果も期待できるでしょう。3. 1日5分の筋トレをする筋トレには身体を引き締める効果とともに、血中のセロトニン分泌量を増加させ、情緒を安定させる効果があります。身体を動かすことは抑うつ症状の軽減に効果的であり、抗うつ薬と似た作用があることも証明されています。筋トレによって、身体が引き締まり見た目が変わることにより、メンタルを整える効果も期待されるでしょう。1日5分でも続ければ身体は変わるでしょう。まずは少しだけと思ってはじめてみるのもおすすめです。まとめ心の健康は身体にもさまざまな良い影響があります。身体を整えることにより心が安定し健康になることもあれば、心が健康であることが身体の健康につながることもあります。心の健康のために、日常に取り入れられるケアは様々あるので、ご紹介した3つ以外に探してみるのも面白いかもしれませんね。日々のストレスをうまく発散しながら、自分の心と身体を大切にしていきましょう。