まだ起きていない出来事を不安に思ったり、自分や周囲のことを過度に心配したりする方はいませんか?自分ではわかっていても、なかなか直らないのが心配性。心配性と聞くとあまり良いイメージはありませんが、心配性であることのメリットもじつは少なくありません。また近年、心配事の9割以上は実際には起こらないという興味深い研究データも報告され、大きな話題となりました。そこで本記事では、発表されたデータを用いながら、心配性について解説しています。心配性な人もそうでない人も、ぜひ最後まで読んでウェルビーイングな日々の参考にしてみてください。日本人には心配性が多い?「日本人には心配性が多い」と聞くと、みなさんはどのような感想を持つでしょうか?おそらく読者の多くの方が、「その通り」と答えるはずです。事実、セコム株式会社が実施した第8回「日本人の不安に関する意識調査」によれば、日本人の74.4%の人が「最近不安を感じている」と回答しています。なかでも年齢が若い人ほど不安傾向が強く、とくに20〜30代の女性の88%が不安を感じているという結果となりました。ではなぜ日本人に心配性が多いのでしょうか。その原因を調査したところ、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンと関連があることがわかりました。セロトニンには「セロトニントランスポーターSS型」という関連遺伝子型があり、別名「不安遺伝子」と呼ばれています。この「不安遺伝子」を持つ日本人の割合は全体の68.2%を占めており、日本人の不安傾向の強さは遺伝子にあることが生物学的に解明されつつあります。心配性は必ずしも悪いことではない日本人の多くが不安遺伝子を持つ理由については諸説ありますが、現在では地震や津波、火山や台風といった、自然災害が歴史的に多かったためであると考えられています。心配性というと一般的にネガティブなイメージがありますが、じつは必ずしもそうではありません。心配や不安は人間が生まれながらに持つ本能であり、ある意味では、心配や不安のおかげで人類はこれまで発展してきたとも言えます。とくに日本人の「和」の精神や、常に相手を優先する文化や勤勉さは「不安の強さ」のポジティブな面の表れとも考えられているため、心配性であることはそれほど気にする必要はありません。また、心配性は考え方や行動次第で改善できることがわかっています。そのためには、物事をできるだけポジティブに解釈することが大切です。心配事の9割は実際には起こらない読者のみなさんは「心配事の9割以上は実際には起こらない」という話を聞いたことがあるでしょうか。これはアメリカのシンシナティ大学教授であるロバート・リーヒ博士が行った実験により明らかになりました。この実験データによると、心配事の85%において、予想していた心配事よりも「良いこと」が起こり、悪いことが起こった残りの15%のうち79%が、予想したほど悪い結果ではなかったそうです。つまり全体の97%の心配事は起きておらず、それどころか、実際には良い方向に転じているという興味深い結果となりました。この実験データから、心配事のほとんどは「取り越し苦労」であることがわかります。みなさんの中にも、予想していた心配事がまったく起こらないといった経験をされた方もいらっしゃるでしょう。たとえば、上司や家族に相談しづらい場面を想像してみてください。話を切り出す前は、あれやこれやと悩んだものの、実際に話をしたところ、すんなり聞いてもらえた経験はありませんか?同じように、心配事は意外に現実にならず、むしろより良い結果となることが多いようです。心配性のメリット・デメリット心配事は、想像よりはるかに起こる確率が低いことがご理解いただけたと思います。心配性というとあまり良いイメージはありませんが、良い影響も少なくありません。そこで以下では、心配性であることのメリットについて解説します。もちろん、過度の心配性は心身に悪影響を与えますので、デメリットと合わせて参考にしてください。<心配性のメリット>1.注意深いためミスが少ない心配性の人は、「⚪︎⚪︎になったらどうしよう」や「予期せぬ事態になったら大変だ」のように、事前にいろいろと考える傾向にあります。あまり気にしない人からすれば、「考えすぎ」の一言につきますが、しかしこれは言い換えれば、「あらゆる事態を想定している」とも言えます。また、物事を確実に解決する傾向にあるためミスが少なく、その結果、問題がスムーズに解決することも少なくありません。トラブルに対処できるのも、心配性の人のメリットです。2.物事を順序だてて取り組む心配性の人が何よりも嫌うのが「想定外」という言葉です。そのため、心配性の人が行き当たりばったりで行動することは少なく、細かいスケジュールを立てて物事に取り組みます。みなさんの周りにも、旅行の計画を立てるのが得意な人はいませんか?もしかしたら、そんな人はちょっと心配性な人かもしれません。計画性をもった行動が得意なのも心配性な人のメリットです。3.周囲に気配りができる心配性な人が、自分のことだけを心配しているとは限りません。自分以外の周りの人のことにも目を配り、「困っている人はいないだろうか」「あの表情はどういう意味だったのだろう」といったことをいつも考えています。いわゆる「気が利く人」は、ある意味では心配性な部分がありますが、ビジネスや家庭では多くのメリットがあります。相手の立場や状況を常に観察し、ベストな選択ができるのも心配性な人の特徴です。4.何事にも責任感を持つ心配性な人は何事にも責任感を持って取り組みます。というのも、心配性な人はいい加減なことをして、取り返しのつかない事態に発展することも心配するからです。あとで後悔することをできるだけ避けるため、何をするにも責任感を持って取り組みます。一見すると気難しそうにも思えますが、周囲からの信頼も厚い人が多く、頼れる人物でもあるでしょう。<心配性のデメリット>1.NOと言えない心配性な人は責任感が強い一方、人からの頼み事を断れない傾向にあります。・断ったら申し訳ない・信用を失うのではないか・自分が引き受けなくてはプロジェクトが進まないのではないかといった考えが頭をよぎり、無理してでも引き受けてしまう場合も多いでしょう。もちろん、自分に余裕があれば良いのですが、引き受けられない場合は、きちんと断ることを心がけてください。無理に引き受けたことが、自分にとっても相手にとってもデメリットになる可能性もあります。2.作業が遅くなるタスクを着実にこなせるのが心配性の人のメリット。しかし何事も完璧主義なため、ささいな事にも時間がかかってしまうかもしれません。細かいことに気が付くのはとても良いですが、ときには時間を意識しながら作業に取り組んでみてください。また、場合によってはタスクや作業を人に任せるのもおすすめです。すべてを自分1人でやろうとせず、周囲に助けを求めることで効率よく作業をこなせるようになるでしょう。3.失敗をいつまでも引きずる失敗をいつまでも引きずるのも、デメリットの1つ。何事にも慎重で建設的なところが心配性の人の良いところですが、1度失敗すると完璧主義が裏目に出てしまい、ショックから立ち直れないということも。まずは「失敗は失敗」と素直に受け止めて、次はどのように生かすかをポジティブに考えてみてください。メンタルが弱いところがあるのも、心配性の人のデメリットです。4.ストレスがたまりやすい普通の人よりも、ストレスがたまりやすいのが心配性の人の特徴です。「将来の不安」「お金の不安」「家族の不安」などについて必要以上に心配し、心身のストレスがたまりやすい傾向にあります。上述したように、心配事の9割は実際には起こりません。そのため、「なんとかなる」「どうにかなる」などの言葉を自分に言い聞かせて、できるだけ楽観的に物事を捉えるようにしてみてください。また、ストレスがたまっていると感じたら、早めに対処することも大切です。心配性をポジティブに活用しよう!今回は、誰もが持つ「心配」や「不安」に焦点をあてて解説しました。読者の方にも、日頃の心配性や取り越し苦労にお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、過度の心配性は心と身体にとって大きな負担になりますが、ポジティブな面も多くあります。また、日本人の大部分の人が「不安遺伝子」を持っていることに安心した方もおられるのではないでしょうか。心配性は悪いことでもネガティブなことでもありません。むしろ心配性は自分の個性と考えて、日々の生活に役立ててみてください。★MiCORAYピックアップ★・Relux・Forbes Japan・サワイ健康推進課・HELiCO・Kracie参考資料PHPオンライン衆知セコム株式会社第8回「日本人の不安に関する意識調査」(2019)新潟県医師会コラム「日本人と不安」YAHOO!JAPANニュースLAURIER PRESS「心配性な人の特徴とメリット&デメリット!対処法もピックアップ!」