「考えごとをするときに目が右上を向いている」「友人がよく言う口グセが気になるな…」など、日々の生活のなかで人のクセや仕草に目がいくことはあるのではないでしょうか。わたしたちが普段、何気なくしているクセや仕草に心のなかが表れていることがあります。また、他の人と接するときにも、相手の仕草からその方の心理を想像することができます。本記事では「行動心理学」の視点から、クセや仕草に隠されている人の心理について解説していきます。行動心理学の視点でクセや仕草を観察し、毎日のコミュニケーションに役立ててみてはいかがでしょうか。行動心理学とは行動心理学はアメリカの心理学者ジョン・ワトソンが提唱しました。「人間の行動やしぐさから感情を読み取る」という心理学で、人間一般に対する心理傾向・特徴を解明しようとするものです。何百、何千人規模のアンケートを行ったり、実験室で被験者の行動パターンを調べたりして得た科学的なエビデンス(根拠)をもとにしています。ビジネスやマーケティング、恋愛など、コミュニケーション全般に役立つので、さまざまなシーンで活用されています。行動心理学を「仮説」としてつかってみる行動心理学は大人数の心理を読み解こうとするときに効果を発揮します。個人個人の場合は、経験や背景など様々な事情があるため、行動心理学の法則にすべてがあてはまるわけではありません。しかし「この仕草にはこういう傾向がある」と知っていることはコミュニケーションのヒントになるでしょう。おすすめは行動心理学を「仮説」として使ってみること。「仮説」の軸を持つことは、人とのコミュニケーションに大きなヒントをあたえてくれます。たとえば、アイオワ大学のスティーブ・ダック教授が行った調査では、1週間のうち最も口ゲンカをした回数が多いのは水曜日というデータがでたそうです。これを「仮説」として使うとすると、トラブルをさけるために水曜日に少し気を付けてみるということです。実際、水曜日に何もないかもしれないけれど、行動し観察してみる。観察する視点をもっていれば、口ゲンカやトラブルになりそうだという場合に、客観的に気づけるかもしれません。行動心理学を知り「仮説」の軸をいくつか持つことはコミュニケーションのヒントになりますので、楽しみながら活用してみてはいかがでしょうか。クセ・仕草から読み取れる心理 5選クセや仕草からどのような人間の心理がわかるのか5選をピックアップしてご紹介します!身近な人を思い出しながら参考にしてみてくださいね。その1. 立ったまま考える人は決断力・行動力がある立って腕組みをしていたり、立ちながら窓の外を眺めている人があなたの周りにいませんか?「何をしているの?」と思ってしまいそうですが、実は頭のなかでは思考をめぐらせて次の行動を考えている可能性があります。「立ったまま考える人の方が決断力に優れている」という実験結果があります。この実験を行ったのは、ミズーリ大学のプルードン博士。立ったままの被験者、座ったままの被験者に意思決定をさせる実験を行なったところ、立ったまま考えた人の方が、座って考えた人より33%速く決断を行っている結果が得られました。さらに、立ったまま考えごとをする人は、決めたら行動に移すのも速い傾向にあります。立って考える人は即決型で行動も速い傾向にあるので、納期がせまっているなど、スピーディーな決断を求められる仕事ではよい結果を出してくれるでしょう。逆に、座って考える人は熟考型です。素早い対応が求められる場合とじっくり考えることが求められる場合に応じて人を選定すれば、仕事の効率アップもはかれるでしょう。その2. 口グセからわかる本音話す言葉には人の性格があらわれます。何度も使っている言葉に注目してみると、本音や性格の傾向を知るヒントになります。「つまり」と話をまとめたがる人は、分析好きで自分に自信をもっている傾向が高いです。自分が考える結論に相手を導きたいという面もあるかもしれません。理論的で説得力のある人が多いです。「とりあえず」と前置きをつけて話す人は、自信がなく、自分を守りたい気持ちが隠れています。意識的に使う場合は、人に指図されるのをきらう傾向があります。「だけど」はマイナス面に目が向きやすく、物ごとを慎重で用心深くとらえるタイプです。小さなことでも納得できないことがあれば、自分の意見をしっかり伝えることができる人が多いです。「すごい」「めちゃくちゃ」を多用する人はアピールしたいタイプ。はっきりと意見を言うので頼りがいがあります。言葉とともに、大きなリアクションをする人はサービス精神旺盛。場を盛り上げようと、周りの空気をよむ力が高いタイプです。他にも、「えーっと」は沈黙を恐れ「何か言葉を話さなければ」という焦り、「ちょっと」は自分をおさえようとし、感情をさらけ出すことをためらっている可能性、「なるほど」は話を聞いてるサインですが受け流している可能性もあり……など、口グセから読み取れる心理がります。口グセの意味を知ると、周りの人とのコミュニケーションのヒントになりそうですね。自分自身の口グセを振り返ってみて、当てはまるか考えてみるのも面白いかもしれません。その3. 目が左に動くと「過去」右に動くと「未来」をイメージ目の動きから相手が今何を考えているのか知るヒントになる「アイ・アクセシング・キュー」理論というものがあります。スポーツやビジネスなど多くの分野で活用されているNLP(神経言語プログラム)の基本テクニックのひとつです。たとえば、目が左に動いたときは「過去」、右に動いたときは「未来」を考えていると言われています。目の高さにも意味があります。上の方を向いたときは「視覚イメージ」、水平では「聴覚」、下の方に向いたときは「内的対話」や「体感イメージ」につながるとされています。これを合わせて、目の左右と高さの動きを見てみましょう。視線が左上を向いていたら、過去のイメージ、右上を向いていたら未来の状態をイメージしていると考えられます。その4. 頭をさわると緊張、あごにさわると慎重さ何かにさわっているしぐさにも本音があらわれます。非言語コミュニケーションは無意識にやっていることが多いものです。頭や髪にさわるときは、緊張やさみしさをまぎらわそうとしている心理状態があらわれています。あごにふれるときは、相手の発言から自分を守りたいという気持ちや、間違った発言をしたくないという慎重さ。鼻や口に手をあてるのは、目の前の相手への後ろめたい気持ちがあるそうです。特に、口をさわる場合は嘘をついている可能性もあります。ただ、話している相手が口をさわったからといって「嘘でしょ」とすぐに問い詰めるのはNG。相手を追い詰めてしまうのでご注意くださいね!その5. 腕・手・足からわかる本音人はリラックスしていると身体がゆるみます。話しているときは言葉に意識を集中しているもの。腕や手・足は無意識な状態が多いです。そこには、相手に対し心を開いているか、緊張やストレスを感じているかを見抜くヒントが隠れています。腕や足を開いている形は「オープンポジション」とよび、リラックスして好意的に心も開いていることが多いです。手のひらを見せている、ひざやつま先が自分の方を向いているなどもオープンポジションです。腕を組む、ひざをくっつけるなどは「クローズドポジション」と呼び、緊張感や警戒心、居心地のわるさの表れです。他には、こぶしを固く握る、手を机の下やポケットに隠す、ひざをくっつけている、足を頻繁に組みかえるなどもクローズドポジションです。話している相手が、自分の方を向いて手も開いた状態だったら、おおむね好意的と考えてよいでしょう。腕を組むなどクローズドポジションの場合は、緊張をほぐすような笑顔や会話で相手に接すると、お互いコミュニケーションがとりやすくなるかもしれません。まとめクセ・仕草から分かる行動心理についてご紹介しました。初対面の方やわかりにくいと思う方でも、行動から何か読み取れるヒントがあるかもしれません。ただ、行動心理学は、クセや仕草から「こう!」と決めつけるためのものではなく、あくまで、人との円滑なコミュニケーションのために使うことをおすすめします。ここでご紹介したものはほんの一部ですが、日々のコミュニケーションにぜひ役立ててみてくださいね。▶関連記事はこちら◀行動から心がわかる?!幸せを探求する心理学?!じつは身近にある心理学4選★MiCORAYピックアップ★・行動心理士講座|心理学の資格|通信教育講座・資格のキャリカレ (c-c-j.com)・行動心理カウンセラー®資格(行動心理資格) | 日本メディカル心理セラピー協会【JAAMP】 (domap.net)・眠れなくなるほど面白い 図解 心理学の話: ヒトの心と行動の謎をゼロからトコトン解説!参考文献●植木理恵のすぐにつかえる行動心理学 植木理恵 監修 宝島社 2012年●「なるほど!」とわかるマンガはじめての心理学精神科医ゆうきゆう 監修 西東社 2014年