思いっきり泣いた後に気持ちがスッキリしたり、嘘のように晴れやかな気分になった経験がある人も少なくないと思います。一般にネガティブなものとして捉えられている「泣く」という行為。しかし心から泣くことは、溜め込んだストレスを解放し、心身ともにさまざまなメリットがあることがわかっています。そこで今回は、人が涙を流す理由と、泣くことで得られるメリットを解説します。人はなぜ泣くの?涙には3種類ある嬉し涙や悔し涙、感動の涙など、人が涙を流す理由はさまざまです。また涙を流すのは人間だけと言われています。一般に「泣く」という行為は、感情に由来するものを想像しがちです。しかし実際には涙にはいくつかの原因があり、おもに次の3つが挙げられます。基礎分泌としての涙私たちの目は常に涙に守られており、基礎分泌の涙は、目を潤し保護する役割を果たしています。そのため、パソコンやスマートフォンなどで目を使い続けるとこの機能が衰え、ドライアイなどの問題が生じる場合があるので、注意が必要です。反射性の涙反射性の涙とは、玉ねぎを切ったときや目に異物が入ったときに出る涙です。煙やチリなどが目に入り、涙を流したことのある方も多いと思います。また、異物を排除する役割の他に、感染症を防ぐ役割も果たしています。情動性の涙喜怒哀楽の感情や、心の起伏により出る涙です。「泣く」という言葉を使う際に、多くの人がイメージするのはこの涙でしょう。「泣く」という行為に対してネガティブな印象を持つ人が多いかもしれませんが、情動の涙には、日頃のたまったストレスを発散し心に安らぎをもたらす効果があるとされています。しかし、いわゆる「嘘泣き」は情動性の涙には含まれず、ストレスを軽減する効果はないそうです。泣くことのメリット6選情動性の涙は、私たちの心身にどのような影響を及ぼすのでしょうか。ここでは涙を流すことで得られるメリットを6つ紹介します。1.リラックス効果が得られる泣いた後、なんだか心が温まるような感覚を経験した方はいませんか?これは「休息の神経」と呼ばれる、副交感神経が優位になることにより起こる現象です。副交感神経はリラックスしたときや睡眠時に活発になります。また、副交感神経には血管を広げ、血流を良くする働きもあるため、泣くことでリラックス効果が得られると考えられています。2.ぐっすりと眠れる安眠効果心の底から涙を流すと、その疲労感から普段よりも寝つきが良く感じたり、睡眠の質が向上したと感じる方もいるのではないでしょうか。これは泣いたことで気持ちがスッキリし、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが増えたことによるものです。セロトニンは心に安定や安心感をもたらし、平常心を取り戻すのに欠かせないホルモンです。泣きたくて仕方がないときは遠慮せずに泣いて、ぐっすり寝ることをオススメします※13.痛みを軽減する泣くことは痛みの軽減につながることも。人間は涙を流すと、脳内で苦痛をやわらげるエンドルフィンやオキシトシンなどのホルモン物質が分泌されることがわかっています。エンドルフィンは、鎮痛薬として使用されるモルヒネよりも高い鎮痛作用があり、痛みにともなう涙は、人間にとって合理的なものであるといえるでしょう。4.心のデトックス効果泣くことで得られる効果に、心のデトックス効果が期待できます。人間はストレスにさらされると、心臓や消化器官などに少なからずダメージを受けます。読者の方の中にも、プレゼン前に心臓の鼓動が早くなったり、大事なイベントで胃腸の調子が悪くなるといった経験がある方も多いのではないでしょうか。情動性の涙には、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが含まれています。泣くことでコルチゾールが体外に排出されると、ストレスホルモンが低下し、心のデトックス効果につながると言われています。涙を流した後にスッキリするのは、こうした作用によるものだったのですね。5.うつ病のリスクを下げる情動性の涙に含まれている物質は、コルチゾールといったストレスホルモンだけではありません。涙の成分には、マンガンが多量に含まれていることが報告されています。マンガンは人間にとって必要なミネラルの1つですが※2、過剰に摂取するとうつ病のリスクが高めます。涙と一緒にマンガンを流すことで、うつ病のリスクが軽減される可能性が研究により指摘されています※3。6.押さえ込んでいた気持ちに気が付く泣くことで、普段は意識していない「本当の自分の気持ち」に気付く可能性も。人間は心理的に避けたい出来事があると、強がったり、見てみぬふりをして本当の気持ちにフタをする傾向があります。これは心の防衛本能からくる自然なことですが、自分の気持ちを押さえつけすぎるのも考えものです。泣くことで普段押さえ込んでいる感情に気がつき、心を解放することも、ときには必要かもしれません。心のデトックスに「涙活」もオススメストレス解消法にはいろいろあり、昨今ではマインドフルネスやヨガといった、心の内面を整える方法が注目を集めています。そんな中、ストレス解消に効果的な方法として、涙活(るいかつ)が広がりつつあることをご存知でしょうか?涙活とは、積極的に涙を流すことで、日頃のストレスを解消する活動のことです。2013年頃※4からじわじわと話題になり、現在では、自粛生活でストレスを抱える人々の癒しとしてブームが再燃しています。ここでは、涙活の簡単な方法を紹介しますので、ぜひ1度試してみてください。テーマを選ぶ泣けるテーマといっても趣味趣向は人それぞれ。感動的な映画で泣く人もいれば、素晴らしい楽器演奏やスポーツ鑑賞で涙を流す人もいるでしょう。ここで重要なのは、自分が過去に「何で泣いたか」を思い出すこと。もし思い出せない場合は、インターネットで「感動する◯◯」などを検索して探してみるのもおすすめです。探しているうちに、ご自身の中で共通するジャンルやテーマが見つかることでしょう。そして心の琴線に触れる作品を見つけたら、ゆっくりとその世界観を味わってみてください。そうすることで自然と涙が溢れ、ストレス解消につながります。泣くことに抵抗しない涙活の目的は、涙を流してストレスを解消することです。泣くことに遠慮はいりません。仕事や友人関係では泣くのを我慢して、自分の素直な感情に向き合う機会はそれほど多くないはずです。自分の好きなテーマを見つけたら、その世界にどっぷりと入り込み、思う存分泣いてストレスを発散してください。泣いた後は心身ともにリフレッシュして、新たな気分で過ごせるようになりますよ。涙活のタイミングは週末がおすすめ涙活のタイミングは週末がおすすめです。もしくは、翌日がお休みの日に行うと良いでしょう。翌日が休みだと気持ちもリラックスしているため、泣きやすくなります。また、涙活の時間帯は朝よりも夜が良いようです。一般に人間の生活リズムは朝に活発になり、夕方から夜に向かって落ち着く傾向にあります。そのため、19時から20時にかけて行うと、涙活効果が発揮されやすいそうです。自分の気持ちに素直になって、ストレスオフな生活を目指そう!今回は泣くことのポジティブな側面や、得られるメリットを解説しました。「いい大人が泣くのはみっともない!」と思う気持ちもわかります。でもときには自分の気持ちや感情に素直になって、涙を流すのも良いストレス発散になると思います。日頃からストレスを抱えている多くの方にとって、本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。※1・3参考東邦大学医療センター大森病院臨床検査部※2参考厚生労働省e-ヘルスネットミネラル※4参考https://fukushi-iryo.denpa.jp/参考HP医療法人社団平成医会 「泣く」ことで得られる心身のメリットセゾンのくらし大研究Lidea涙もろい人とそうでない人の違いは?泣きのメカニズムを脳科学者に聞いた!WedgeONLINEうつ病への効果が期待できる涙活 能動的な涙はストレスを解消させるYakultストレスマガジンTABI LABO「いい涙」は、あなたを強く、健康的にそしてクリエイティブにしてくれる涙活公式|寺井広樹プロデュース