家庭や職場などでつい「イラっ」として余計な一言を言ってしまったり、反対に身に覚えのない八つ当たりを受けて、不愉快な思いをしたことがある方も多いのではないでしょうか。怒りの感情はエネルギーが非常に強いものです。そのため、上手に付き合えばモチベーション向上に繋がるものの、場合によっては取り返しのつかない事態になる恐れも。また、自分を「怒りっぽいな」と感じている人のなかには、できることなら心穏やかに過ごしたいと悩んでいる人もいることでしょう。そこで本記事では、なぜ人は怒るのか、その理由や怒りっぽい人の特徴、そして怒りが出たときの簡単な対処法を解説します。なぜ人は怒るの?「怒り」の原因と4つの性質を知ろう人が怒る原因を解説する前に、そもそも「怒り」とはなんなのでしょうか。心理学的説明によれば、「怒り」とは外部から身を守るための防衛反応であり、「喜怒哀楽」という言葉もあるように、誰にでも備わっている生きる上で欠かせない感情の1つとされています。また、怒りの感情は「第2感情」とも呼ばれ、その根底には悲しさや不安、恐れ、ネガティブといった「第1感情」と呼ばれる感情があると考えられています。例えば、次のような場面で怒りを感じたことはありませんか?・待ち合わせの時間に相手が遅れる・部下の仕事が遅い・お願いしたことが終わっていない・子供の帰りが遅いこれらに怒りを覚えるのは、不安や恐れ、期待への裏切りといった「第1感情」が満たされないことで起きる自己防衛反応によるもので、それが「怒る」という行動となり表に現れているのです。また、怒りには大きく分けて4つの性質があり、代表的なものとして以下のものが挙げられます。怒りの感情は高いところから低いところへ流れやすい例えば「上司から部下へ」、「先輩から後輩へ」、あるいは「声の大きい人から内向的な人へ」など、優位な立場にある人から、弱い人に向けられるのが怒りの性質の1つです。距離感が近い人に怒りを感じやすい怒りは身近な人ほど強くなる傾向にあります。その代表的なものが、家族や恋人に対する怒りです。この場合は「わかってくれているはず」や「いつものこと」といった甘えや期待が根底にあります。怒りは人に伝わりやすい人間は感情を共有する生き物。悲しい出来事はともに悲しみ、喜びを分かち合うことが人生の醍醐味でもあります。しかし「怒り」の感情には注意が必要です。というのも、怒りの感情はエネルギーが強いため、周囲に伝染しやすいという性質があります。自分でも気付かないうちに怒りのエネルギーを受け取ったり、ときには自分が発信源になる場合もあるので、自分の感情をよく観察することが大切です。チャレンジの原動力になることも怒りの感情は、一般にネガティブなものとして捉えられがちです。しかし怒りのエネルギーを上手にコントロールすれば「チャレンジ精神」の原動力にもなります。そのため、目的達成に怒りの感情を適度に維持するのも効果的です。「怒りっぽい人」の特徴とは?周囲を見回すと、なぜか怒りっぽい人やいつもイライラしている人っていませんか?子供の頃に育った環境や、職場での不満感、やりばのない不安を抱えているなど、怒りっぽくなる原因はさまざま。怒りっぽい人とはできるだけ距離を置きたいものですが、そうはいかないのが世の常。では、怒りっぽい人の特徴にはどのようなものがあるのでしょうか。以下では、怒りっぽい人の特徴を解説します。「〜すべき」という思いが強すぎる怒りっぽい人の特徴として、「〜すべき」思考が強い人があげられます。例えば、「挨拶すべき」、「お礼をすべき」「早く出社すべき」など、自分ルールにこだわっている人が怒りっぽい傾向にあるようです。こういう人は「自分が正しい」という思考に囚われているため、他者を許容することを苦手としています。また周囲にもルールを守って欲しいという思いが強いので、それが守られない場合に怒りっぽくなるようです。身体的・肉体的ストレスが強い私たちの体は、疲れていたり眠いときなど、身体的な苦痛が続く場合や、日々の忙しさや、物事が上手くいかないことへの焦りなどを抱えていると、いつもより怒りっぽくなります。私たちの心は一定ではありませんが、怒りっぽい人の特徴として、常に何らかのストレスを抱えている場合が多いようです。コンプレックスが強い怒りっぽい人の中には、コンプレックスが強い人も見られます。人は誰しも何らかのコンプレックスを抱えながら生きているもの。しかしその度合いが強すぎると、自信がないことを悟られまいとするあまり、相手を威嚇して怒りっぽくなります。例えば、外見や能力にコンプレックスを抱えている場合がその典型です。自分の存在価値を否定されそうになると、怒りっぽくなる場合があるようです。過去の出来事をいつまでも気にしている誰にでも恥ずかしい失敗や、人生において後悔していることはあるもの。しかし怒りっぽい人は、過去の出来事をいつまでも引きずっていて、「過去にあんなことをされた」「こんなことを言われた」と思い出してはイライラしがち。いわゆる「根に持つ」というタイプです。たとえイライラの原因となる相手が違っていても、過去の状況がフラッシュバックされ、周囲にイライラをぶつけてしまいます。怒りを落ち着かせるための対処法5選ここまで、怒る原因や怒りっぽい人について解説してきました。しかし「怒る」という感情は誰にでもあるもの。できることなら、怒らずに穏やかな日々を送りたいですよね。そんな方のために、怒りを鎮める5つの対処法を紹介します。1.怒りを覚えてから6秒待つ怒りの感情と向き合う方法の1つに、アンガー・マネジメントと言われる心理トレーニングがあります。アンガー・マネジメントは瞬時に沸き起こる怒りの感情を客観的に捉えるトレーニングとして、近年注目を集めています。瞬間的な怒りのピークは「わずか6秒」とのこと。怒りを感じたら無理に鎮めようとせず、頭の中でゆっくりと6秒数えてみてください。そうすることで、怒りを客観的に見つめることができ、冷静な判断力を取り戻しやすくなります。2.呼吸を深くする人間は怒りを感じると呼吸が浅くなる傾向があります。そのため、怒りの感情を感じたら、ゆっくりと深呼吸してみましょう。深呼吸には自律神経のバランスを整える効果があるとされ、ストレスの緩和やイライラ防止にも効果的です。イライラを感じたら、息を吸うときに4秒かけて吐く時は8秒かけてゆっくりと行ってみてください。3.その場から離れるその場から離れることが可能であれば、できるだけ素早くその場から離れ、怒りの原因を遠ざけるようにしてみてください。というのも、怒りの原因が目の前にあっては、怒りの感情が増すばかり。まずは目の前の現実を変えて、自分の気持ちを落ち着けることを最優先にしましょう。4.「〜すべき」という価値観に気が付く怒りっぽい人の特徴にも登場した「〜すべき」思考。気が付いていないだけで、実はあなた自身にも、強く握りしめている「べき」思考があるかもしれません。自分の価値観を変える必要はありませんが、ときには自分の「べき」思考を見直してみるのも大切。例えば「休日は外に出て遊ぶべき」と自分を追い込んでいる場合、「たまにはのんびり過ごすのも良いもの」と「べき」を緩めてみてください。そうすることで、自分の許容範囲を見直し、価値観を広げるきっかけになるかもしれません。5.心が落ち着く行動を取る意識的に心が落ち着く行動をしてみましょう。例えば会社にお気に入りのハーブティーなどを持参して、怒りが出たときに一息いれるのも良いかもしれません。あるいは、ストレス軽減効果が科学的に証明されている「かわいい動物の写真」を見るのも良いでしょう。いずれにしても、「自分が幸せ」と感じられる行動を意識的に心がけてみてください。「怒り」の感情と上手に向き合い、穏やかな生活を送ろう今回は「怒る」原因やその対処法について解説しました。人は誰しも「怒り」の感情を持っているもの。しかし怒りの感情と向き合い、上手にコントロールすれば人間関係が円滑に進み、目標達成の原動力にもなります。「怒る」=「悪いこと」ではありません。適度にストレスを発散しながら、日々の生活を穏やかで安らぎのあるものにしてみませんか?参考:一般社団法人日本産業カウンセラー協会参考:一般社団法人日本アンガーマネジメント協会参考:FNNプライムオンライン参考:関西福祉科学大学心理・教育相談センター参考:TABILABO参考:神戸東洋医療学院附属治療院参考:Domani(小学館)参考:DIAMOND online参考:生涯学習のユーキャン参考:Oggi「すぐ怒る」人への対処法とは?