こんな経験ありませんか?・家族や友人、職場での何気ない一言に傷つき、いつまでも引きずってしまう・恋人や家族、愛するペットとのつらい別れを思い出して泣いてしまう人は誰しも心に傷を抱えながらも、そのつらさを懸命に乗り越えて生きていくもの。失恋や別れなどで一時的に心が傷ついたとしても、多くの場合、時間の経過とともに薄らいでいくのが一般的です。しかし一方で、トラウマと呼ばれる「心の傷」を抱え続け、苦しんでいる人がいるのも事実。そこで本記事では、トラウマとは何なのか?どのように向き合えば良いのかについて、わかりやすく解説します。もし読んでいて心が苦しくなる方がいましたら、心が落ち着いているときに読んでみてください。トラウマとは?日常会話の中で「トラウマ」という言葉を使う人は意外に多いと思います。この場合のトラウマは、「ちょっとしたつらいこと」を表す程度で、深刻な意味で使われることはあまりありません。トラウマとは、心理学では「心的外傷」といわれ、過去につらい経験をしたことで刻まれる「心の傷」を意味します。すべてのトラウマが深刻なものではなく、軽度であれば誰にでも起こる現象です。多くの場合、時間の経過とともに回復する傾向にありますが、場合によってはPTSD(心的外傷後ストレス障害)など、日常生活に支障をきたす症状も招きかねません。たとえば読者のみなさんの中にも、過去の出来事を急に思い出し、不安や恐怖、緊張などを感じたことがある方もいるかもしれません。そのような方は、過去に起きた出来事がトラウマとなり、心に残っている可能性があるので注意が必要です。また、トラウマは外から見ただけではわからないことが多いため、周囲の人の理解も重要です。トラウマの原因では、トラウマの原因にはどのようなものがあるのでしょうか。一口にトラウマといっても、原因はさまざまです。そのため、原因となる状況を把握しておくことで、トラウマに対する理解が深まります。トラウマを引き起こす代表的な原因に、以下の4つがあります※1。・地震、火災、台風、洪水などの抵抗できない自然災害によるもの・戦争やテロ、暴動などの社会的要因・暴力や事故、犯罪、性的被害など、生命の危機に関わる出来事・大切な人や物、ペットとの別れといった喪失体験その他、いじめやパワハラ、親族を含む家庭環境や恋愛関係など、日常生活のなかにもトラウマとなる要因が隠れています。トラウマの症状について心の傷になる出来事への反応を、心理学では「トラウマ反応」と言います。トラウマ反応は決して異常な体験ではなく、トラウマの原因になる状況に遭遇した人なら、誰にでも起こりうる反応です。多くの場合、時間の経過とともに回復すると考えられています。しかし以下の症状が1ヶ月以上続くなど長期におよぶ場合は、信頼できる人に相談するなどの適切な対応をとってください。トラウマ反応の代表的な症状として、次の症状があげられます※2。フラッシュバック経験した記憶や映像が突然よみがえり、頭から離れなくなる現象をフラッシュバックと言います。フラッシュバックは、記憶を思い出したときに、動揺や発汗、動悸といった身体の反応を伴うこともあるつらい症状です。また、繰り返し悪夢を見るのもこの症状の特徴です。回避症状回避症状とは、トラウマとなる経験をした場所や状況を避ける行為です。つらい経験をした場所に居続けると、そのときの状況を思い出してしまうため、無意識・意識的に特定の場所や状況を避けるようになります。ネガティブな感情や心理的マヒ自分自身や他者、あるいは世間に対してネガティブな感情を抱くのが特徴です。他者を信頼できなくなり、周囲に怒りをぶつけてしまうといった行動が出る場合もあります。自分の苦しみをわかってもらえないという孤独感に苦しむ症状です。過感覚交感神経が活動しすぎているため、眠れない、集中できない、少しの音にも過剰に反応するといった症状が出ることがあります。しかし他の症状とは異なり、少しずつ回復していく場合が多いようです。PTSDやうつ病などの精神的疾患何らかの原因により、上記の症状が1ヶ月以上続き、日常生活に支障が出る場合はPTSD(心的外傷後ストレス障害)の可能性があります。また、うつ病や心身症などの心の病気につながる恐れがあるので、早めの対処が必要です。HSPとトラウマの関係は?HSPという言葉を聞いたことがある方も多いと思います。HSPとはHighly Sensitive Personの頭文字をとって作られた心理学の用語です。日本語では「感覚がとても繊細な人」という意味で捉えられています。またHSPは「その人の気質を示すもの」であり、病気ではありません。アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士によって1990年代に提唱され、日本人のおよそ5人に1人が何らかのHSP気質を持っていると言われています※3近年、HSPが注目されている理由としては、情報社会によるストレスや、それによる生きづらさを感じる人が増えたことなどが考えられています。HSPの人には「DOES」と呼ばれる4つの特徴があり、・情報を深く掘り下げて処理する・人よりも刺激を受けやすい・感情の振れ幅が大きく、相手のことがわかりすぎてしまう・小さな変化にも敏感に気が付くなどの特徴があげられます。このことにより、HSP気質の方とトラウマには深い関係があると言えます。もしご自身がHSPかどうか確認したい場合は、アーロン博士のセルフ診断を試してみてくだい。HSP診断アーロン博士によるセルフ診断トラウマとの向き合い方トラウマとの向き合い方には、カウンセリングなどの心理学的アプローチや医学的アプローチなどがあります。しかしトラウマを克服するためには、「自分で理解する」ことも大切です。以下では、トラウマを克服する方法について簡単に解説します。リラックスできる安心感のある生活を送るトラウマを克服する重要なポイントに、安心・安全な環境を整えることがあげられます。というのも、トラウマを抱えた人の中には、心に傷を負った出来事がまた起きるのではないかという恐れを持っている人が多いからです。そのため、恐怖心を少しでもやわらげる環境が必要となります。症状が引き起こされる場所はさまざまです。家庭や職場にトラウマの原因があるにもかかわらず、その場所に居続けていては、回復の妨げにもつながりかねません。自分が安心できる方法や、安全な居場所を見つけるためのセルフケアのスキルを身につけるのも大切です。自分のトラウマ反応を知り、可能な限り対処できるようにするここまでお話ししたように、トラウマの原因や症状を「自分で」知ることも大切です。症状には必ず理由があり、ご自身が抱えるトラウマのメカニズムを知ることで正しい対処法につながります。トラウマとなった状況を思い出し、気持ちを整理するトラウマとなった経験を思い出し、紙に書くなどして整理することもトラウマの克服に役立つと言われています。というのも、「自分は安全だ」「今の自分には何の危険もない」というポジティブな経験を繰り返すうちに、徐々にトラウマが解消されていくからです。もちろん、思い出すことはつらいことでもありますが、自分と向き合うことで、気持ちを整理するきっかけになります。なお、このワークをする場合は専門家の指導のもと、適切な方法で行ってください。カウンセラーなどの専門家に相談するトラウマを克服するためには、専門家の手を借りるのも大切。というのも、トラウマを1人で解決するには、多くのプロセスが必要になる場合があるからです。自分1人だけで解決しようとせず、専門家やカウンセラーに相談することで、解決の糸口が見つけやすくなります。心療内科などに抵抗がある方は、カウンセリング・ルームがある大学に相談するのもおすすめです。自分のペースで無理なくゆっくりと向き合いましょう心に負った傷は、目に見えないため周囲の理解を得にくいものです。また、自分から誰かに相談するのも勇気がいることでしょう。しかし、いつまでもトラウマを抱えながら生きていては、人生の幸福度は下がり、心身ともに豊かな毎日を送ることが困難になってしまいます。人生には、ときには大きな勇気が必要です。もし、自分1人では解決できないトラウマを抱えているのなら、思い切って誰かに頼るのも正解だと思います。きっとあなたの力になってくれる人がいるはずですよ。★MiCORAYピックアップ★トラウマのカウンセリングと克服NPO法人カウンセリングオフィスSARAブリーフセラピー・カウンセリングセンターTICCについて | トラウマインフォームドケア事務局参考資料※1 文部科学省第2章心のケア 各論※2 一般社団法人日本トラウマティック・ストレス学会※3 北星学園大学健康ステップアップ最近よく聞くHSPってなんだろう?<参照HP>厚生労働省 知ることから始めようみんなのメンタルヘルスPTSD厚生労働省 e-ヘルスネットPTSD/心的外傷後ストレス障害厚生労働省 e-ヘルスネットPTSDNPO法人 カウンセリングオフィスSARA コラム「トラウマ(つらい記憶)にとらわれてしまうのはブリーフセラピーカウンセリングセンター トラウマ、PTSDとは何か?あなたの悩みの原因と克服国立研究開発法人 科学技術振興機構 困った人は、困っている人HSP診断 アーロン博士によるセルフ診断医療法人社団 平成医会HSPの特徴と向き合い方