近年、「人生100年時代」という言葉をよく耳にするようになりました。人生100年時代に向けて、人生設計や資産形成などを考えていかなければなりませんよね。今後のライフプランを考える中で、定年後の働き方について、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。これまでは60歳が定年の企業が多かったですが、これからは年齢を重ねても働ける環境に変化していくと思います。60歳以降も元気に働くために、ミドルシニアの皆さんは、今からキャリアアップについて考え、実践していきましょう。ミドルシニアとは?ミドルシニアとは、一般的に40代〜60代の中高年と言われる層を指します。人材市場において、年齢によって世代分けをすることがよくあります。明確に定義されているわけではないですが、34歳以下をヤング世代、35〜54歳をミドル世代、55歳以上をシニア世代と3段階に分けることが最も多いです。ミドル世代の後半年齢と、シニア世代を合わせて、ミドルシニアと呼ぶことが多いようです。ミドルシニアとキャリア人生100年時代と言われるように、日本人の平均寿命は伸びています。厚生労働省が発表したデータによると、女性の平均寿命は、1955年に67.75歳でしたが、2019年には87.45歳と約20年も寿命が伸びていることが分かります。2040年には更に2歳ほど伸びるのではないかと推計されています。2021年4月、高齢者雇用安定法が改正され、定年制の廃止や、70歳まで定年を引き上げるなどの措置が企業の努力義務になりました。国としても、高齢者雇用の促進を求めているのです。しかし、2022年のデータでは、60歳〜65歳を定年年齢としている企業は、全体の93.4%、その内の72.3%は60歳です。現状、ほとんどの企業は、まだ定年の引き上げに対応できていないんですね。今後、平均寿命も更に伸びていき、定年の年齢が上がっていく可能性が高いです。ミドルシニアの方は今の段階から、70歳や80歳になっても、働き続けるキャリア設計をしておくべきでしょう。60歳で終わりと思わず、あと20年は現役で働く意識を持っておくことが大切です。ミドルシニアがキャリアアップできる働き方長く働くためのキャリアを構築していく70代になっても、働くのが当たり前になってくるかもしれませんが、まだ定年の年齢は60歳の企業がほとんどで、60歳以降も同じ条件で働ける企業はまだ少ないのが現状です。そのため、転職を前提に、キャリアを構築しておくことが重要となります。求人サイトでは、ミドルシニアに向けた採用情報が紹介されていることも多いようです。ただ、現在働いている職場が大企業であれば、転職するよりも、社内で新しいポジションで働く方が良い可能性があります。転職をする前に、社内でどんなキャリアがあるかしっかりと調べておくようにしましょう。満足いく転職ができるように、自分にはどのような価値があり、転職先にどのような利益を与えることができるのかを説明できるように、日頃からしっかりと準備をしておくことが大切です。待遇重視からやりがい重視の働き方へ転職するときに、重視することは人それぞれ違いますが、給与や福利厚生などの待遇を重視する方も多いのではないでしょうか。待遇は生活していく上でもちろん大事ですが、今後も長く働き続けるのであれば、やりがいを重視した働き方を選択した方が、キャリアアップに繋がる可能性が高いです。現状、60歳以降での転職の場合、待遇はこれまでよりも下がってしまうケースがほとんどです。転職をして、今よりも待遇が悪くなったとしても、これまで培った能力を思いっきり発揮できる環境に身を置いた方がストレスなく働くことができます。中小企業では、経営者の裁量が大きい部分がありますので、働き始めて結果を出すことで、収入をアップしてもらえる可能性もあります。最初から待遇を求めず、やりがいを重視した働き方を選択し、長く働ける環境に身を置くようにしましょう。テレワークを導入している企業を選ぶ年齢を重ねると、体力が落ちてきたと感じる方も多いのではないでしょうか。ミドルシニアになって、満員電車の通勤や1日中営業周りをすることがしんどいと感じる方も多いかもしれません。新型コロナウィルスの影響で、テレワークを導入する企業が増えました。日頃から運動をして、体力づくりをしておくことも大切ですが、テレワークを活用した働き方を選択してみるのも良いかもしれません。家で仕事をすることができるため、移動にかかる体力を使うことなく、仕事に集中することが可能です。もし、現在テレワークを導入していない企業で働いているのであれば、今後のことを考え、今のうちからテレワークを積極的に活用している企業に転職しておくのも良いかもしれません。ただ、テレワークをするためには、自宅に充実したネット環境が必要になってきます。企業側がパソコンを支給するケースもありますが、ご自身で準備をしなければならないかもしれません。テレワークを導入している企業に転職する前に、自宅のテレワーク環境を整えておくようにしましょう。ミドルシニアがキャリアアップをするためにミドルシニアに求められる役割を理解する60歳を過ぎても働き続けるためには、定年を過ぎても必要とされる能力を持っておかなくてはなりません。どの世代でもそうですが、企業で働いていくためには、他人からの評価は切っても切り離せません。ミドルシニアの場合、求められる能力は若い世代よりも高いものになります。専門知識やスキル、マネジメント能力などが求められることが多いでしょう。若い世代に、これまで培ってきたスキルを継承していく力も大切になってくると思います。キャリアアップをするために、自分に求められる能力を理解し、しっかりと身につけておくようにしましょう。ゴールを設定し、逆算して行動するキャリアアップを進めるためには、まず自分が60歳以降にどのような仕事や働き方をしていたいかのゴールを決めることが大切です。ゴールを決めておけば、それに向かって、何歳までにどのような行動をすればいいかが、自然と見えてくるでしょう。逆にゴールをしっかりと設定していないと、方向性が分からなくなってしまう可能性があります。設定したゴールに向かって、焦らずに段階を踏んで、一歩ずつ進んでいきましょう。キャリアアップができると信じる年齢を重ねると、どうしても保守的になってしまいがちです。年齢や体力など不安な面はあるかもしれませんが、キャリアアップができると自分自身を信じてあげるようにしてください。あなたが思っている以上に、今後のキャリアには多くの可能性があるのです。どうしても自信が持てないのであれば、すぐにはでなく、ゆっくりと進めて行けば大丈夫です。目標に向けて、1つずつ行動していけば、きっと思い描く未来の姿になれることでしょう。自分の可能性を信じてキャリアアップを成功させようミドルシニアのキャリアアップ方法について、紹介しました。不安はあるかもしれませんが、1つずつ実践することで、キャリアアップは可能です。ミドルシニアのキャリアアップに1番大切なことは、自分自身を信じられるかどうかです。自信を持って、定年後に目標とするキャリアに向けて、日々行動していきましょう。参考資料図表1-2-1 平均寿命の推移令和4年就労条件総合調査の概況