働き方改革が推進される現代。リモートワークやフリーランスを選択する人が増える中で、マネジメントの重要性が注目されています。マネジメントとは、組織としていかに効率よく目的を達成し、企業の利益アップに繋げるかを管理する役職のこと。MiCORAY読者の方の中にも、実際にマネージャー職であったり、あるいはマネージャーの下で働いていたりする方もいらっしゃることでしょう。マネジメントの良し悪しが企業の成長に大きく影響し、さらには職員のウェルビーイングに深く関わっていることは言うまでもありません。本記事では、マネジメントの重要性とウェルビーイングな職場環境について解説しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。マネジメントとは?日常生活や職場でしばしば耳にする「マネジメント」。「マネジメント」の本来の意味は「経営」や「管理」を意味し、ビジネスシーンにおいては、組織経営や運営を管理する業務を示します。具体的には、組織の「人・もの・金」をいかに効率よく、かつ最大限に活用した上で、企業の業績向上や目標達成に貢献することが主な役割です。マネジメントという言葉そのものは古くから使用されてきましたが、アメリカの経済学者ピーター・ドラッカーが自身の著作で再定義したことで、広く知られるようになりました。ドラッカーはマネジメントを「組織に成果をあげさせる機能」と定義しており、現在のマネジメント理論は、この定義が元となっています。マネジメントとリーダーシップの違い「マネジメント」と似た言葉に「リーダーシップ」があります。普段使い慣れている2つの言葉ですが、意外に違いを知らない方も多いのではないでしょうか。これらは明確な違いがあるため、その違いを確認してみましょう。●リーダーシップリーダーシップの役割とは、チームにおいて「進むべき方向を示す」ことが目的です。チームをまとめる役割であるため、自ら率先して行動する「高い行動力」が求められます。●マネジメントリーダーシップとは異なり、マネジメントの役割は「目標に従って、効率的に組織を運営する」ための方法・手段を示すことが目的です。そのため、マネジメントでは組織の管理能力が必要とされます。また、ピーター・ドラッカーはマネージャーを「組織の成果に責任を持つ人物」と定義しており、その役割として以下の3つを挙げています。1.組織づくりと目標達成2.部下の統率と教育3.成果の評価測定これらを適切に実施することが、組織を円滑に運営する上での重要ポイントとされています。働きやすい職場環境を作るのもマネジメントの役割マネジメントの重要な役割の1つに、職場の環境づくりがあります。働き方改革が加速し、グローバル化やデジタル化、少子高齢化など多くの問題がある中で、これらの問題に適切に対処するのもマネジメントの役割です。経済産業省が行った調査「変革の時代における人材競争力強化のための9つの提言」によれば、年齢層が若い労働者ほど兼業や副業に関心があり、ワークライフバランスを重要視する傾向にあるようです※1。そのため、人材離れを防ぐためにも、時代に応じた柔軟なマネジメントが必要となります。また、依然として仕事や職業生活にストレスや不安を抱えている労働者が多いことから※2、メンタルヘルスを保つ上でも、職場環境に合わせたマネジメントが求められます。そのような現状の中、近年注目を集めているのが、職場における「心理的安全性の確保」と呼ばれる取り組みです。以下では、マネジメントにおける「心理的安全性の確保」について解説します。心理的安全性の確保とは?「心理的安全性の確保」とは、組織やチームなどの集団においても、臆することなく自然体の自分でいられる環境を意味します。アメリカ・ハーバード大学の組織行動学者エイミー・エドモンド教授によって提唱されたことで注目を集め、Google社が「プロジェクトアリストテレス」と呼ばれる大規模な調査を行い、世界的に広がりました。心理的安全性が高められると、本来のパフォーマンスが発揮できるため、ウェルビーイング度の高い職場形成にもつながります。Google社が提唱するマネジメントのための5つの重要因子Google社が提唱するマネジメント因子には以下の5つがあります。1.心理的安全性業務をする上で、ミスは誰にでも起こるものです。そして大抵の場合、怒られたり、注意されたりするのが一般的です。なかには、必要以上に叱責してくる人もいるでしょう。これでは心理的安全性を確保できません。「ミスをしても傷つかない」と思える環境が大切です。2.相互信頼組織やチームでは、お互いの信頼が欠かせません。人により能力もクオリティもさまざまですが、補い合うことで相互に信頼が生まれます。3.構造と明確さチームが何を目的にしているかを明らかにし、目的達成のためのプランが共有・構造化されていること。Google社は、具体的に以下3つの条件を掲げています。・何を要求されているか・要求を満たすためのプロセスは何か・メンバーそれぞれの成果4.仕事の意味チームが取り組んでいることの、意味や目的を明確にすること。「家族のため」や「プロジェクト完成のため」など、具体的な意味を持つことで、モチベーションアップにつながり、やりがいも向上します。5.インパクト自分の仕事の意義を、自分だけでなくチームのメンバーも自覚しているかどうかが重要。そして、その仕事が世の中にとって良い影響を与えると認識していること。これら5つの因子を意識することで、組織マネジメントの大きな変化が期待できるのではないでしょうか。チームや職場におけるマネジメントのメリット4選ここまで、マネジメントの意義や現在のトレンドについて紹介しました。職場における適切なマネジメントには多くのメリットがありますが、今回は代表的なメリットを4つ紹介します。1.集中力・パフォーマンス・アップにつながる適切なマネジメントはチームや職場の雰囲気を良好にし、人間関係の改善も期待できます。その結果、社員の集中力も向上するため、チームのパフォーマンス・アップも期待できるでしょう。心理的に安心できる職場をつくることが、何よりも大切です。2.ストレスが減り、仕事にやりがいが出る職場の雰囲気や人間関係が良くなると、ストレスが軽減されるなどのメンタルヘルスでの改善も考えられます。ストレスが軽減されることで心も安定するため、エネルギーも湧きやすく仕事にもやりがいを感じられるはずです。3.新しいアイディアが出やすくなる管理の行き届いたマネジメントにおいては、チーム内で自由に意見交換ができるため、情報交換が活性化します。年齢や立場を越えた意見も素直に受け止められ、結果的に新しいアイディアも出やすくなるでしょう。4.離職率の低下が防げる企業にとって大きなイメージダウンとなるのが、離職率です。離職率が高い職場だと、優秀な人材を確保しにくくなり、業績の悪化にもつながります。一方、マネジメントが行き届いた職場では、自分の意見やポテンシャルを発揮しやすいため、仕事にやりがいを感じ、人材流出も防げます。マネジメントを知れば、職場のウェルビーイングもアップ一口にマネジメントと言っても、職種や組織により、その側面はさまざまです。そして時代とともに変化するのも、マネジメントの特徴と言えるでしょう。ウェルビーイングな職場環境を作るには、いかに細やかなマネジメントが行き届いているかがポイントです。また、現在マネジメントに関わっていない方も、マネジメントを学ぶことで職場環境の改善や、日頃の人間関係の向上に役立ちます。そのためにも、本記事が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。★MiCORAYピックアップ★・株式会社マツリカ・ミイダス・MOTIVATION CLOUD・KDDIまとめてオフィス株式会社・株式会社パラドックス・HRpro参考資料kaonavi人事用語集 マネジメントとは【意味を簡単に】能力、スキル、仕事内容Schoo for Business プロジェクトアリストテレスとは?定義から具体的なプロセスまで詳しく解説HR NOTE マネジメントとは?役割や必要なスキル、マネジメント手法をご紹介パーソル マネジメントとは?業務内容から必要なスキルまで徹底解説※1経済産業省 「変革の時代における人材競争力強化のための9つの提言」※2厚生労働省 職場におけるメンタルヘルス対策の状況参照ホームページ内閣府 職場マネジメント事例集