今回は福利厚生シリーズの【設備・環境編】を紹介します。働く私たちにとって大切なのは、職場の人間関係と職場環境です。そして従業員に配慮した設備や環境が整っていれば、日々のお仕事にもやる気が湧いてきますよね。時代の流れが速い現代社会。かつての「保養地」のイメージが強い福利厚生の設備や環境は、大きく様変わりしているようです。そこで本記事では、福利厚生における時代の移り変わりや、ユニークな設備や環境を設けている企業を4つ紹介しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。福利厚生の種類福利厚生について改めて簡単に説明します。よく知られているように、福利厚生には「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類があります。「法定福利厚生」とはその名の通り、法律によって定められた福利厚生です。例えば、雇用保険や、厚生年金保険、健康保険が当てはまります。一方、「法定外福利厚生」とは、法律による縛りがなく企業独自で決められる福利厚生です。例えば、社員食堂や診療所、社宅や寮などが該当します。また、設備や環境の他にもリフレッシュ休暇や従業員のフォローアップなど、企業の特色を生かした福利厚生が設定できるのも大きな特徴と言えるでしょう。福利厚生施設とは法定外福利厚生にはさまざまな取り組みがありますが、代表的なものの1つに福利厚生施設が挙げられます。福利厚生施設とは、企業が従業員の保養のために設置した施設やスペースの事です。かつては主に「社宅や寮」が一般的でしたが、働き方やライフスタイルの変化に伴い、現在ではそのあり方も大きく様変わりしています。福利厚生施設にはこんなものがある「社宅や寮」以外の代表的な福利厚生施設には以下のようなものがあります。1.保養所(保養施設)保養所とは、企業が従業員のために設置した施設です。施設管理等は企業が独自で行っているため、従業員は自由に施設を利用できます。あるいは、民間のホテルや施設の一部を企業が借りて、従業員に提供する場合もあります。1990年代のバブル期までは、保養所の規模が企業ステータスの象徴でしたが、時代の変化と共に保養所に対する意識に変化が出てきているようです。2.ジムスポーツジムも福利厚生施設の定番です。運動不足を解消することで、健康管理や心身のリフレッシュといったウェルビーイングの向上にもつながります。スポーツジム以外にも、テニスコートやバスケット場、ゴルフ施設などを備えた企業もあり、保養所と併用して用いられることが多いようです。また、近年では民間のフィットネスクラブと提携し、従業員の健康管理を実施する企業も少なくありません。3.休憩所・仮眠室すべての休憩所・仮眠室が福利厚生施設とは限りませんが、業務とは別に設置された休憩室であれば、福利厚生施設として認定されます。最近では、仕事の効率化や生産性をあげるために「お昼寝時間」を設けている企業も出始めており、休憩室のあり方も変化しています。4.マッサージマッサージが受けられる福利厚生施設も人気です。マッサージを受けることにより仕事で溜まった緊張がやわらぎ、リラックスして業務に集中することができます。マッサージ施設が常設されている企業がある他、出張マッサージ制度を導入している企業もあるようです。また、カウンセリングルームといったメンタルヘルスに関わる施設や、お子さんを預かる保育所を設置している企業も増えています。5.社員食堂社員の健康を管理する、社員食堂も大切な福利厚生施設の1つです。健康志向の高まりにより、サラダバーやオーガニック食材を取り入れた食堂を展開するなど、各企業でさまざまな取り組みが行われています。なかには一般利用ができる社員食堂もあり、従業員の健康管理以外にも、企業のイメージアップにも繋がっているようです。福利厚生施設と時代の流れここまで、代表的な福利厚生施設について解説してきました。企業ごとにユニークな福利厚生が実施されていますが、そのあり方は時代と共に変化しています。福利厚生施設がピークを迎えたのは、1950年代の高度経済成長期。当時の雇用形態は年功序列、終身雇用が一般的であり、「従業員は家族」という風潮が強い時代でした。そのため、従業員の満足度や労働環境の改善のため社宅や寮、保養所などが次々と建設され、ハコモノ施設がブームとなります。しかし1991年、バブル経済の崩壊により日本経済が低迷すると、徐々にハコモノ施設を手放す企業が増え、福利厚生のあり方にも変化が生じます。そして働き方が多様化し、ワーク・ライフ・バランスの充実を優先させる現代においては、かつてとは異なり「持たざる福利厚生」が主流となりつつあるようです。ユニークな福利厚生がある企業4選【設備・環境編】福利厚生は時代と共に常に変化していることから、ある種「時代を映す鏡」とも言えるのではないでしょうか。現在もなお日本経済は厳しい状況が続いていますが、そのような時代にある中でも、各企業は工夫を凝らし努力を続けています。以下では、設備・環境の福利厚生に力を入れている企業4選を紹介します。1.株式会社DNPファシリティサービス大日本印刷株式会社(DNP)の100%子会社である、株式会社DNPファシリティサービス。同社は電気・消防・建築工事といった各種設備の保守点検を展開する大手企業です。またDNPグループにおける福利厚生事業も手がけており、全国にある関連施設31店舗の社員食堂において、従業員たちの日々の健康を支えています。女子栄養大学とのコラボレーションにより開発した「女子栄養大学カフェテリアランチ」も好評とのこと。同社は箱根の仙石原に保養所「箱根芦ノ湖荘」を持ち、従業員は源泉掛け流しの温泉や、ボウリング、カラオケなどを楽しめます。株式会社DNPファシリティサービス ホームページ(福利厚生)2.Sansan株式会社名刺管理サービス「Sansan」やアプリ「Eight」などを提供しているIT企業です。読者の方のなかにも利用されている方がいるかもしれません。Sansan株式会社には、社員同士の親睦会費支援や家賃費用の一部負担など、さまざまな福利厚生が実施されており、なかでも徳島県の古民家を利用したサテライトオフィス「Sansan神山ラボ」は、新しい働き方として注目を集めています。Sansan株式会社ホームページ3.クックパッド株式会社クックパッドは日本最大のレシピ・サイトを運営する企業です。こちらも「困った時のクックパッド」として日々利用されている方も多いのではないでしょうか。クックパッド株式会社では、福利厚生設備として「オフィス内キッチン」が設置されており、社員自らが食事を作る環境が整っています。これは、「毎日の料理を楽しみにする」という目的の他に、「ユーザー目線で料理すること」を意識するためでもあるそうです。クックパッド株式会社4.株式会社Eyes,JAPAN株式会社Eyes,JAPANは福島県会津若松市に本社を置くIT企業です。ウイルス対策ソフトやキャラクター作成、漫画制作、セミナー運営など幅広い事業を展開しており、フリービタミン制度とフリーカフェイン制度という2つの福利厚生が特徴です。フリービタミン制度では、バナナやオレンジなどの果物がなんと食べ放題。新鮮な果物は疲れた脳をリフレッシュさせ、仕事の効率化に繋がります。さらにフリーカフェイン制度では本格的なコーヒーをいつでも楽しめ、仕事の質の改善に大きく貢献しているそうですよ。株式会社Eyes,JAPAN福利厚生を見れば、時代の特徴が見えてくる今回は福利厚生の【設備・環境編】を紹介しました。時代と共に働き方が変わり、福利厚生のあり方も変化していることがよくわかりますね。MiCORAY読者のみなさんは、どの企業の施設・設備に興味を持ったでしょうか。それぞれの企業がユニークなアイデアを出し、従業員のウェルビーイング向上に配慮しながら、生産性や業績アップのための取り組みに力を入れています。MiCORAYでは、これまで数回にわたり福利厚生の取り組みについてお伝えしていますので、ぜひそちらもお読みいただき、企業選びやウェルビーイングな働き方の参考にしてみてください。参考ホームページNTTビジネスアソシエ東日本|福利厚生制度とは?その必要性や導入時の注意点を解説厚生労働省|勤労者の福利厚生について東急リバブル|福利厚生施設の考え方は変化している?多様化の背景と具体例株式会社オフィッコス|オフィスに導入したい福利厚生や社内設備は?おすすめのサービスについても紹介株式会社ベター・プレイス|【保存版】ユニークな福利厚生82選!具体例を15種類別に紹介