少子高齢化の進む日本では、働き手となる生産年齢人口(15-64歳)の減少が深刻な社会問題になっています。そのため政府は、外国人雇用を積極的に受け入れるために様々な政策をおこなっています。その結果、近年では日常生活のなかで、コンビニや飲食、介護や医療の現場などでも、外国人雇用をみかける機会も多くなりました。日本の外国人雇用の実態や、出稼ぎに来た外国人が、母国に与えている影響などをみていきます。日本の外国人雇用の実態まずは日本の外国人雇用の実態をみてみましょう。外国時労働者数2022年4月の時点で外国人労働者数は約182万人と過去最高となりました。国籍別にみると、ベトナムが外国人労働者全体の24%と最も多く、同21.2%で中国、同11.3%でフィリピンの順になっています。(参考:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)在留資格日本で働くためには、職種に関連した在留資格(就労ビザ)が必要です。入国管理局が発行する「在留カード」に、在留資格や在留期間が記載されています。在留資格によっては、活動内容が制限されているため業務内容には注意が必要です。外国人労働者の雇用形態外国人労働者のフルタイム勤務での雇用形態は、主に下記の3種類です。社員、契約社員としての直接雇用労働者と受け入れ企業や団体が直接雇用契約を結ぶことを「直接雇用」といいます。特定技能などの在留資格は、直接雇用が原則の場合もあります。雇用条件では、給与面や福利厚生、有給なども日本人と同等の条件となります。実習生としての受け入れ技能実習生の受け入れ方法には、下記の2種類があります。企業単独型:日本の企業が、海外の現地法人や取引先企業の職員を受け入れ技能実習をおこなう。団体監理型:営利を目的としない団体などが、実習生を受け入れ傘下の企業などで技能実習をおこなう。技能実習生の給与は、最低賃金以上の賃金を支払わなければならないと最低賃金法で定められています。休日などの手当も、日本人と同様に支払われます。派遣としての受け入れ外国人と派遣会社が直接雇用の関係を結び、企業に派遣されて業務をおこないます。外国人労働者が日本で働く理由外国人労働者が日本で働く理由は、以下のことが考えられます。母国よりも給料が高い日本は、東南アジアや南米に比べて物価が高いため、最低賃金も必然的に高くなっています。たとえば、日本に来ている外国人労働者でもっとも多い国籍、ベトナムの最低賃金は約2万7,144円(都市部での月額 2022.7改定)と、日本より低いことがわかります。その為、日本で稼いだお金を母国へ送金し、家族を養っている人も少なくありません。また、企業を立ち上げる資金を稼ぐために、日本で働いている人もいます。治安が良い他国に比べて日本は治安が良いことが、海外から高く評価されています。海外では、夜間女性が1人で歩くと犯罪に巻き込まれることも多く、夜間の外出を控えているのが現状です。日本の治安の良さは、外国人が安心して出稼ぎにくるための条件といえます。福利厚生の充実外国人労働者も、日本人と同様に社会保険や労災保険などに加入することができます。日本のように社会保険制度が整っている国は少ないため、3割負担で医療を受けることができるのは、日本で働くメリットのひとつといえます。出稼ぎに来た外国人の母国に与える影響出稼ぎに来た外国人は、母国にどのような影響を与えているのかをみてみましょう。経済的な影響日本で働いて得た収入を母国へ送金し、家族や地域社会に還元されることにより、地域経済の活性化になります。社会的な影響外国人労働者が日本社会と接することで、日本の文化や異なる価値観を経験できます。そのことが、外国人労働者の視野を広げ、母国に帰った際に日本での経験を生かした社会貢献をすることができます。人的な影響日本への出稼ぎによって、日本語やビジネススキルの習得が可能です。たとえば、製造業や建設業などは、その技術を身に着けることができます。また、日本で働くことで人脈を築くことができ、将来的に母国社会で人脈を活用できる可能性があります。研修やサポート面を確認外国人労働者が日本で働くことは、母国への経済的、社会的、人的な影響だけでなく「生活のしやすさ」も利点といえます。ただ、働いた企業が「イメージと違った」などとトラブルにならないよう、研修やサポート面が充実していることを事前に確認しておくと安心です。厚生労働省は外国人労働者への生活や就職支援などもおこなっています。(参考: 外国人の雇用|厚生労働省)他国で生活することでの不安や悩みを、相談できる場所をみつけておきましょう。