少子高齢化のすすむ日本では、2013年に「高齢者雇用安定法」が改正され、徐々に定年年齢が60歳から65歳までに引き上げられています。2021年の日本人の平均寿命は、男性が81.47年、女性が87.57年。つまり60歳で定年退職した場合は、その後約20年以上は生活を送っていることになります。年金の支給だけでは生活ができないなどの理由もあり、60歳以上の人の多くが、定年後も働きたいと考えているのではないでしょうか。そこで、定年後の働き方には、どのような職種や雇用方法があるのかをみていきます。定年後の雇用方法定年後の雇用には、再雇用と再就職の2種類があります。それぞれみていきます。再雇用勤めている企業で、定年後も継続して雇用される「継続雇用制度」というものがあります。この場合は、定年退職後の再雇用という形での契約になるため、定年退職時に退職金を受けることができます。2025年4月からすべての企業に「65歳以上の雇用延長」が義務化されます。ただ、70歳までの高年齢者就業確保処置を実施している企業は25.6%とまだ少ないのが現状です。令和3年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果|厚生労働省再雇用を利用する際のメリットは以下になります。慣れている環境で働ける通いなれた職場で働くことができるため、人間関係などの環境もこれまでと変わらずに働くことができます。また、就職先を探したり、新しい職場で働く際の精神的なストレスがありません。継続して仕事ができる定年退職後に就職活動の期間がないため、途切れず継続して仕事をすることができます。デメリットとしては、以下があげられます。・ポジションがかわる定年退職を機に役職が変更になり、今まで部下だった人が上司になるなどの、職場でのポジションがかわることがあります。・給料が減るほとんどの場合が、定年前より給料が下がります。給料が下がったのに仕事内容が変わらないなどの場合は、不満やトラブルにもなるため、勤務条件は定年前によく確認しておくとよいでしょう。再就職定年退職後、新たに別の企業に再就職をする場合をみてみましょう。就職先を探す際には以下の方法があります・ハローワークハローワークの窓口やサイトから、求職条件を登録し求職申込みができます。65歳以上の人が、ハローワークで求職活動をする場合、下記の条件を満たせば「高年齢求職者給付金」の支給を受けることが可能です。・離職の日以前の1年間に、被保険者期間が通算6か月以上ある・失業の状態にあることそのほかの詳細な条件はこちらを参考にしてください。高年齢求職者給付金のご案内|厚生労働省受給額は、離職前の6か月の賃金の総額から180を割った50~80%が日額です。被保険者であった期間によって、支給日数が変わります。(1年未満は30日分、1年以上は50日分)該当する人は一度確認してみるとよいでしょう。・シルバー人材センターシルバー人材センターは、都道府県知事の指定を受けた公益法人で、市区町村単位で置かれています。高齢者の「生きがいを得るための就業」と「地域社会の活性化」を目的とした組織です。お住まいの市区町村にある、シルバー人材センターのホームページから会員登録し、入会説明会に参加後、手続きを行います。シルバー人材センターは、高齢者の生きがいを目的にしているため、一定した収入の保証がないのが特徴です。・転職サイト転職サイトから、60歳または65歳以上の求人を自分で探し応募します。「65歳以上」「シニア」などで検索することができます。アルバイト、パートや業務委託の求人が多くみられます。おすすめの職種5選60歳以上で働くときに、おすすめの職種を5つ紹介します。事務職これまで事務職をしてきた人で、パソコン操作なども可能であれば、肉体労働の少ない事務職は体力的にもおすすめです。パソコンに不慣れな場合も、ハローワークの職業訓練などで、パソコン教室を無料で受講することができます。警備警備スタッフの求人は、日当が1万円以上のものも多いため、給与面では条件がよいといえます。勤務時間などの条件も選択肢に幅があります。交通整備など外で勤務をする場合は、天候などの影響もあり体力が必要になります。心配な人は施設警備などの求人を探すとよいでしょう。介護職基本的には介護福祉士やヘルパーなどの資格が必要ですが、求人数も多く、なかには正社員の募集も多数あります。おむつ交換や入浴介助などがあるため、体力に自信がある人には、おすすめの職種です。清掃オフィスビルや病院、商業施設など様々な場所での求人があります。店舗の開店前後の、早朝や夜間の求人が多く、その場合は時給に深夜手当などが含まれます。また、未経験からはじめられるのもおすすめの理由です。マンション管理人マンションの点検、清掃、立ち合いなどの業務を行います。居住者とコミュニケーションをとることも多く、人と関わることが好きな人にもおすすめできる職種です。定年後も充実した日々を送るために定年は人生の節目ですが、その後も人生は続きます。一般的に、定年後は社会とのつながりも減り、社会的に孤立することが問題視されています。定年後も仕事を通して社会とのつながりを持ち、充実した日々を送れるとよいでしょう。充実した日々を送るためにも、勤めている企業の再雇用制度などを確認し、自分に合った働き方や、仕事を見つけることが大切です。