「話していると相手の目線が逸れる」「友人がよく言う口グセが気になるな…」など、日々の生活のなかで人のクセや仕草に目がいくことはあるのではないでしょうか?
わたしたちが普段、何気なくしているクセや仕草に心のなかが表れていることがあります。また、他の人と接するときにも、相手の仕草からその方の心理を想像することができます。
本記事では「行動心理学」の視点から、クセや仕草に隠されている人の心理について解説していきます。
行動心理学の視点でクセや仕草を観察し、毎日のコミュニケーションに役立ててみてはいかがでしょうか。
行動心理学とは
行動心理学は、人の行動を観察し、その背景にある心の動きを理解しようとする心理学の分野です。
出発点は、アメリカの心理学者ジョン・ワトソンが20世紀初頭に唱えた「行動主義」にあります。行動主義とは、目に見える行動を研究の対象にする考え方です。
一方、仕草や表情から気持ちを読み取る考え方は、「非言語コミュニケーション」の研究として発展してきました。ビジネスや恋愛など、人と関わるさまざまな場面で活用されています。
行動心理学を「仮説」としてつかってみる
行動心理学は大人数の心理を読み解こうとするときに効果を発揮します。個人個人の場合は、経験や背景など様々な事情があるため、行動心理学の法則にすべてがあてはまるわけではありません。
しかし「この人はこんなクセがある」「この仕草にはこういう傾向がある」と知っているとコミュニケーションのヒントになるでしょう。
おすすめは行動心理学を「仮説」として使ってみること。
「仮説」の軸を持つと、人とのコミュニケーションに大きなヒントをあたえてくれます。
たとえば、話している相手が腕を組んだとします。このとき「緊張している可能性がある」と仮説を立て、話題を変えたり笑顔で接したりして反応を見ます。
相手の表情がやわらげば、仮説が当たっていたとわかります。変化がなければ、寒かっただけなど別の理由を探せばよいのです。
このように観察と確認をくり返すと、相手を決めつけずに理解を深められます。
行動心理学を知り「仮説」の軸をいくつか持つことはコミュニケーションのヒントになりますので、楽しみながら活用してみてはいかがでしょうか。
クセ・仕草から読み取れる心理 5選

クセや仕草からどのような人間の心理がわかるのか5選をピックアップしてご紹介します!
身近な人を思い出しながら参考にしてみてくださいね。
その1. 立ったまま考える人は決断力・行動力がある
立って話し合うと、決定の質を保ったまま早く結論が出ます。姿勢と決断の速さの関係は、研究でも示されています。
立って腕組みをしたり、窓の外を眺めたりしながら考えごとをする人があなたの周りにいませんか。一見ぼんやりして見えても、頭のなかでは次の行動を考えています。
この傾向を示したのが、ミズーリ大学のブルードーン教授らの研究です。5人1組のグループを、立って会議する56組と座って会議する55組に分けて比較したところ、座った会議は立った会議より34%長くかかり、決定の質には差が出ませんでした。
立って考える人は即決型で、決めたら行動に移すのも速い傾向にあります。納期がせまっているなど、スピーディーな決断を求められる仕事で力を発揮するタイプです。
一方、座ってじっくり考える人は熟考型といえます。研究者自身も、立った会議は報告や情報共有に向いており、アイデアを出し合う場面では座るほうがよいと述べています。
素早い対応とじっくり考えることのどちらが求められるかに応じて役割を分ければ、仕事の効率も上がるでしょう。
その2. 口グセからわかる本音
くり返し使う言葉には、その人の性格や本音の傾向が表れます。よく聞く口グセと、そこに表れやすい心理を表にまとめました。
| 口グセ | 現れやすい心理 |
|---|---|
| 「つまり」 | 分析好きで自信がある。自分の結論に相手を導きたい。 理論的で説得力のある人が多い |
| 「とりあえず」 | 自信がなく、自分を守りたい。人に指図されるのをきらう面もある |
| 「だけど」 | 慎重で用心深い。納得できないことは意見として伝える |
| 「すごい」「めちゃくちゃ」 | アピールしたい。場を盛り上げようとする、サービス精神が強い |
| 「えーっと」 | 沈黙が苦手で、何か話さなければと焦っている |
| 「ちょっと」 | 感情を表に出すのをためらい、自分をおさえている |
| 「なるほど」 | 話を聞いているサイン。ただし受け流している場合もある |
口グセは、相手を決めつけるためではなく、接し方を考えるヒントになります。自分の口グセを振り返ってみて、当てはまるか考えてみるのも面白いかもしれません。
その3. 目が左に動くと「過去」右に動くと「未来」をイメージ
目の動きから相手が今何を考えているのか知るヒントになる「アイ・アクセシング・キュー」理論というものがあります。
スポーツやビジネスなど多くの分野で活用されているNLP(神経言語プログラム)の基本テクニックのひとつです。
たとえば、目が左に動いたときは「過去」、右に動いたときは「未来」を考えていると言われています。
目の高さにも意味があります。上の方を向いたときは「視覚イメージ」、水平では「聴覚」、下の方に向いたときは「内的対話」や「体感イメージ」につながるとされています。
これを合わせて、目の左右と高さの動きを見てみましょう。
視線が左上を向いていたら、過去のイメージ、右上を向いていたら未来の状態をイメージしていると考えられます。
その4. 頭をさわると緊張、あごにさわると慎重さ
何かにさわっているしぐさにも本音があらわれます。非言語コミュニケーションは無意識にやっていることが多いものです。
頭や髪にさわるときは、緊張やさみしさをまぎらわそうとしている心理状態があらわれています。
あごにふれるときは、相手の発言から自分を守りたい気持ちや、間違った発言をしたくないという慎重さ。
鼻や口に手をあてるのは、目の前の相手への後ろめたい気持ちがあるそうです。
特に、口をさわる場合は嘘をついている可能性もあります。
ただ、話している相手が口をさわったからといって「嘘でしょ」とすぐに問い詰めるのはNG。相手を追い詰めてしまうのでご注意くださいね!
その5. 腕・手・足からわかる本音
人はリラックスしていると身体がゆるみます。話しているときは言葉に意識を集中しているもの。腕や手・足は無意識な状態が多いです。
そこには、相手に対し心を開いているか、緊張やストレスを感じているかを見抜くヒントが隠れています。
腕や足を開いている形は「オープンポジション」とよび、リラックスして好意的に心も開いていることが多いです。手のひらを見せている、ひざやつま先が自分の方を向いているなどもオープンポジションです。
腕を組む、ひざをくっつけるなどは「クローズドポジション」と呼び、緊張感や警戒心、居心地のわるさの表れです。他には、こぶしを固く握る、手を机の下やポケットに隠す、ひざをくっつけている、足を頻繁に組みかえるなどもクローズドポジションです。
話している相手が、自分の方を向いて手も開いた状態だったら、おおむね好意的と考えてよいでしょう。
腕を組むなどクローズドポジションの場合は、緊張をほぐすような笑顔や会話で相手に接すると、お互いコミュニケーションがとりやすくなるかもしれません。
足の動きからわかる心理をさらに知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
相手を見抜く目は、自分にも向けられている
相手のクセや仕草が見えるように、あなた自身のクセも周りの人に見られています。人を観察する視点は、そのまま自分を知る手がかりになります。ここでは、自分の無意識のクセに気づく方法を紹介します。
自分のクセは、自分がいちばん気づきにくい
クセは無意識の行動なので、本人が自覚しにくいという特徴があります。会話中に髪をさわる、話の始めに「とりあえず」と言うなど、周りは気づいていても自分ではわからないことがほとんどです。相手の仕草に目を向けられるようになった今こそ、同じ視点を自分にも向けるタイミングといえます。
自分のクセを知る3ステップ
自分のクセは、次の3ステップで見つけられます。
- 書き出す:よく使う言葉や、つい出る仕草を思いつくだけ書く
- 聞いてみる:家族や友人に「わたしの口グセって何?」とたずねる
- 場面を振り返る:そのクセが緊張したときに出るのか、安心しているときに出るのかを考える
まずは、次のチェックリストで当てはまるものを確認してみましょう。
- □ 会話の始めによく使う言葉がある
- □ 考えごとをするとき、決まった姿勢をとる
- □ 緊張すると顔や髪にふれる
- □ 人と話すとき、腕を組むことが多い
- □ 相づちがいつも同じ言葉になる
ひとつでも当てはまれば、それがあなたの心の動きを知る入り口です。
クセは直すより「理解する」ことで味方になる
クセは悪いものではなく、そのときの気持ちを教えてくれるサインです。「緊張すると髪をさわる」とわかれば、自分の緊張に早く気づき、深呼吸などで落ち着けます。クセの背景を知ることは、自分の考え方や感じ方を理解する一歩になるでしょう。
話し方のクセから自分の性格の傾向を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
今日からできる最初の一歩

クセや仕草は、相手の心理を理解するためのヒントです。ただし決めつけには使わず、コミュニケーションを円滑にするための「仮説」として活用してください。
そして、相手を見る目を少しだけ自分にも向けてみましょう。最初の一歩は、今日の会話で出た自分の口グセを1つだけメモすることです。小さな気づきの積み重ねが、自分を知るきっかけになります。
自分をもっと深く知りたい方は、こちらの記事もあわせてお読みください。
MiCORAY(ミコレイ)は、ウェルビーイングを軸に、ホテル事業や教育・体験プログラムを展開するルムア株式会社が運営するメディアです。「自分と向き合う場づくり」を通して得た知見をもとに、「自分を知る」ヒントをお届けします。
参考文献
Bluedorn, A. C., Turban, D. B., & Love, M. S. (1999). The effects of stand-up and sit-down meeting formats on meeting outcomes. Journal of Applied Psychology, 84(2), 277–285. https://doi.org/10.1037/0021-9010.84.2.277
日本NLP協会. (n.d.). アイ・アクセシング・キュー. NLP用語集. 2026年10月21日閲覧, https://www.nlpjapan.org/nlpword02.html
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