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【INTERVIEW】キーワードは「分かち合い」 その人らしく暮らせる社会に近づくきっかけ作り 

CHIKA

Name

CHIKA

Work

新規事業開発・広報/NPO理事/研究員・講師・企業研修他

Dream

その人らしくイキイキと暮らす社会に近づくきっかけをたくさん作ること

会社員をしながらNPO法人の理事やカードゲームの製作など幅広く活動をされているCHIKAさん。障がいを持つ子供のお母さんでもあります。人生のターニングポイントから現在の活動内容までたっぷりとお話をお伺いしました!

ーー簡単な自己紹介とプロフィールをお願いします。

CHIKAさん:CHIKAです。株式会社CHINTAIで会社員として勤務しながら、NPO法人アクセプションズの理事、共生社会が学べるゲームである「ワンダーワールドツアー」の製作委員会、障がいのある子どもと親のための就学支援「みんなで就学活動」の代表を務めています。

私の大切にしていることは、誰でもその人らしく暮らせる社会に近づくきっかけを作ることです。そうしたことからCHINTAIに転職するとき、エージェントに社会をより良くしようと活動している企業だけを紹介してくださいと頼みました。

社会にとって良いことというのは前提で、仕事においては心地よい人たちと一緒に楽しくおもしろいことをしていきたいと思っています。個人活動の場合は、自分でやる部分が多く、規模感を出しづらい部分があります。仕事では、一緒に働く人や会社の力、資金を使って大きなことができます。個人としては良い社会になるきっかけを作ることを軸としていますが、仕事の場合は自分が楽しいと思えるか、一緒に働く人と良い結果が出せるかというのも選ぶ際に意識しています。

ーー大学の非常勤講師も務められているとお聞きしました。

CHIKAさん:大学3年生でもうすぐ実習に行く学生さんに対して多様性のお話をしています。医学部に行ける学力のある方は、受験をしていたり、偏差値の高い学校に行くケースが多いでしょうから、障がいのある子とあまり一緒に育ってきていないと思うんですね。彼らは障がいのある子と暮らすことの楽しさを知らないと思うので、ダイバーシティやインクルージョンのお話をさせて頂いています。

4〜5年前から、遺伝子カウンセラーの先生方と一緒に障がいのある子を産む可能性や、産んだ方に対する対峙の仕方や親子のことについてお話しています。他にも、大学院に行った時にプロジェクトマネジメントについて学んでいるので、プロジェクトマネジメントの講師も務めています。

共生社会について講義をするときもあれば、カードゲームを使って授業をすることもあります。だいたい授業が終わったら生徒さんが何人か来て、やっていることや考えていることを話してくれるんです。そのたびに教育は大切で、すばらしい場だなと思っています。

ーー趣味や今好きなことはありますか?

CHIKAさん:ピラティスとヨガに通っています。高校から大学まで合気道をしていたのですが、合気道は気の流れを感じて、自分と向き合います。ヨガやピラティスも自分と向き合う時間になるので、好きですね。子どもを妊娠している時に近所で開催されていた教室で初めて体験しました。その後、産休が終わって辞めていましたが、コロナの時にまた再開してから今までずっと続けています。

森のリトリートも好きです。大学院の先輩が博士論文で森との対話や思考回路についてまとめるから手伝って欲しいと誘ってもらいました。元々気になってはいたのですが、時間や金額の問題で参加を迷っていたんです。先輩が手伝うなら無料でいいと言ってくれて、インタビュアーや記事をまとめたりなどの研究の手伝いをしながら、森のリトリートを初めて体験しました。行ってみたら本当に良かったですね。2泊3日で累計15時間くらい1人で森にいて、森を感じるんです。要所で対話をする時間があるのですが、それ以外は基本1人で森にいましたね。行く前と行った後では、森や自然に対して感じるものが違うんですよ。今後もリトリートには参加したいと思っていて、森との対話についてのワークショップへの参加も検討しています。定期的に行くと、デトックスやファスティングに近い感覚があると思いますね。

視点が変わるきっかけとなった田舎暮らし

ーー人生におけるターニングポイントはありましたか?

CHIKAさん:高校3年生の時にニュージーランドに留学したことですね。当時バブルがはじける前で、黒いスーツを着てハイヒールを履いて商社や銀行に勤めるのが人生の勝ち組というような職業観の時代でした。高校生でしたが、なんとなく私もそういう思考が刷り込まれていたんです。

ニュージーランドの留学先はパーマストンノースという超田舎でした。スクールバスに乗っていたらバスを羊に止められたり、虹がぐるっと丸い形に出たりするような場所だったんです。ホームステイ先のお友達と紅茶を飲んでのほほんとしたり、お母さんの恋人が忍者だと言うおもしろい友人と話したりしながら1ヵ月過ごしました。その時に世の中はこんなに広いんだから、銀行や商社に行くことがすべてではないと思えたのが1回目の大きなターニングポイントですね。

もう1回は大学で初めて田舎で暮らした時ですね。大学受験に失敗してしまって、希望していなかった大学に行ったんです。それまで試験勉強は勢いでやっている部分があって、勉強の仕方というのを分かっていなかったんです。試験が始まったら勉強の予定表を作る同級生がいて、こうやって勉強するんだと初めて知ることができました。

ニュージーランド留学で感覚に変化があって、大学での田舎暮らしもすごく良い経験になって、要所要所で視点が変わるきっかけをもらえたのはすごく良かったと思っています。

ーー人生で大変だったことはどんなことですか?

CHIKAさん:中3の息子と小5の娘がいるのですが、娘にはダウン症と中度の難聴、ADHDがあります。産んですぐはショックでしたね。かくんと落ちて、ものすごく泣いてしまったこともあります。

泣いて苦しんでいる時間と将来に向かって備える時間、同じ時間ならどっちに時間を使う方がいいかなと考えた時に、絶対に将来に備えた方がいいとポジティブに変換するようにしました。その後、いろいろ悩んだ結果、大家さんになることにしたんです。

娘が生まれてすぐのときに障がいを持った方が働く作業所について調べたのですが、1日4〜6時間くらい施設にいるのに手取りが1ヵ月1万円くらいということを知りました。うちの子は将来どうやって暮らしていくんだろうと思った時にすごくショックを受けたんです。今は知識があるので、年金などがあって暮らしていけるということは分かるのですが、当時は分からなかったので、衝撃でした。

不動産を買うのは大変ですが、買ってしまえば管理会社さんがやってくれるので、娘の将来のために大家さんになろうと思ったんです。娘を抱っこひもで担いで、物件情報をもらいにいったり、見学に行ったりしました。結果的に大家さんにもなれましたし、知らない世界をたくさん見ることができてプラスになりましたね。

ーー娘さんの将来のために動いたことで乗り越えられたんですね。

CHIKAさん:うちの娘は毎日楽しそうなんですよ。障がいがあるとかないとかではなくて、この瞬間を楽しむ才能は私より娘の方があると思います。障がいのある子がいたからこそ感じることもあります。普通では気づかないことに気付けたり、楽しい状態で過ごすことの良さは娘から学ぶことが多いですね。

仕事や学術ではないところでコミュニティが新しくできるのもいいなと思います。例えば仕事で新しい取引先とお話するときは、信頼を得るために一生懸命コミュニケーションをして関係性ができて、いいお仕事に繋がっていきますよね。でもそれにはそれなりに時間がかかると思います。一方で障がいのある子のコミュニティでは、同じ苦労をしてきているのですぐに共感し合えるんです。仕事なら3ヵ月はかかるものが、1時間面談しただけで次に一緒にやることが決まったりします。仕事や学術、社会活動など異なる場で多様な人と出会う事の面白さ、ビジネスではなく感謝の循環で物事がすすむ速さと心地よさ、人生の意味合いや充実した時間の大切さなどは娘から教えてもらいましたね。

障がいを持つ子を育てるのはもちろん大変なことです。嫌なことといいことがぐるぐるしていると思いますね。その都度乗り越えて、喉元過ぎればまた次の幸せがあって意気揚々としていたら、また違う差別にあって苦しんで、それをまた乗り越えたらいいことがある。この繰り返しだと思います。

変えられるものと変えられないものを見極める

ーー落ち込んだときはどのようにして気持ちをあげているんですか?

CHIKAさん:気持ちをあげているというよりも、下げ続けない方が近いかもしれないですね。仕事や友人、家族関係など浮き沈みは誰にでもあると思います。私も嫌なことはたくさんありますが、引きずられると日常生活に支障が出てしまうので、変えられるものと変えられないものを見極めるようにしています。

最近も娘が水泳教室の体験を断られてしまいました。当日に受け入れられないと電話があったとき、すごくショックだったんです。もちろん幼児を受け入れている少人数の教室だったので、学校の水泳の授業を受けているからその子供たちより安全であること、日常生活はおくれていることを伝えても、できませんの一点張りで、このやり取りにさらに心が苦しくなり、その人に文句を言って怒ったとしても、会社の方針だから変わらないなと思いました。変わらないものに対して考える時間はもったいないと思えば、気持ちを下げ続けずにすみますよね。考えても変わらないものは捨てるというのは、娘のおかげで上手になったと思います。

ーー現在はどのような活動をされていますか?

CHIKAさん:さまざまなことをやっていますが、その1つがカードゲーム作りですね。小さい頃から家族で花札やトランプをよくしていたこともあって、カードゲームは元々好きでした。大学院でゲームで社会を変えるというコンセプトのコンペがあったのがきっかけで作り始めました。

2回目のコンペに出したのが、共生社会が学べるカードゲームである「ワンダーワールドツアー」です。プレイヤーは11種類の中から1つの旅行者になりきります。例えば、「小指使いの旅行者」であれば、小指だけでカードをめくるのですが、身体障がいや腕に麻痺がある方の疑似体験ができるようになっているんです。他にも「音で世界を知る旅行者さん」は、目をつぶり音の情報でゲームをする、視覚障害がある方の疑似体験、「絵で伝わりやすい旅行者」は日本語が読みづらい外国籍の方や知的障害がある方などマイノリティの疑似体験ができるゲームになっています。

企業の新人研修や多様性についての研修でお話するときも、カードゲームを使っています。カードゲームをしてからインクルージョンのお話をすると、助けられる側の気持ちや助け合うことって結構できるんだって分かるんです。丁寧にコミュニケーションをとることがお互いにとっていいことだというのも、ゲームをすると体感できるんですよね。

カードゲームを通して多様性や共に過ごすことの良さを感じられるようになるといいなと思っています。「ワンダーワールドツアー2」を今度作ろうと思っているのですが、それは妊婦さんや介護休暇中の人など会社の中で発生しやすい多様性の部分を入れて、企業で使ってもらえるようになればいいなと思っているところです。

本の執筆もしています。プロジェクトマネジメントの国際資格にプロジェクトマネージャープロフェッショナルというのがあります。その教科書の内容が最近大きく変わったんですね。考え方がガラッと変わったので、仲間たちと10人くらいで1章ずつ担当して、自分たちの事例を解説する本を作ることになったんです。自分の企業での話を書いて、そこに先生が解説するという本になる予定です。原稿を11月までに書かないといけないので、今頑張っているところです。

ワンダーワールドツアー – ゲームで楽しく共生社会を学ぼう!

ーー子育てやお仕事もある中での活動は大変な部分はないですか?

CHIKAさん:現在働いている会社がCHINTAIであるというのはとても大きいですね。転職するときから娘のことや社会活動のことを応援してくれていました。副業は事前に相談や申請をする必要がありますが、会社の在り方を含めて、その人らしい働き方を承認してくれる環境があるからこそ今の活動ができていると思います。さらに、会社だけでなく、一緒に働くメンバーの理解があるからこそ、私らしい働き方が実現できていると思っています。

また、社内でも会社のミッションや人事制度を見直すプロジェクトに入っています。会社の目標を上から落とすだけではなくて、自分のやりたいことや会社のミッションを踏まえて目標を定められるように制度を変えている最中です。新規事業の開発をしているチームにいても、デザインに興味があれば新しいLPを作る仕事をやってみたりと、いろいろなことに挑戦できる会社だからこそ今の活動や子育てとの両立がうまくできていると思います。

キーワードは「分かち合い」

ーー最後に、CHIKAさんにとってウェルビーイングな瞬間を教えてください。

CHIKAさん:最近は分かち合えた時に幸せを感じますね。大学や企業で研修をしたときに良かったと思う時とすごく良かったと思う時に差があるんです。すごく良かった時に満足度を強く感じるのはなぜだろうと考えた時に分かち合えた量だなということが分かりました。

去年、大学で多様性についての講義をしました。講義の最後に課題として、今まで自分が作った作品で視点が変わった点があったかどうかを発表してもらったんです。その中に性的な多様性を持っていたけれどずっと隠していたという女の子がいました。卒業制作に作ったアニメには実はこういう思いがあったという話をしてくれ、そしてその場で一緒に講義を受けた人たちがそれを暖かく受容している空気を感じることができました。また他の人たちも講義を通じて得た視点を受けて、新しい解釈と自分がどうしたいかの想いを伝えてくれました。その時に分かち合えて繋がったという感じがしたんです。

何かするときに満足してもらえたな、よくできたなということはあるのですが、それ以上に誰かの気持ちに届いた時や感覚を分かち合えたという時は満足感や幸福感がぜんぜん違うので、最近は分かち合いがいかにできるかというのを考えて取り組みを行っています。

NPO法人アクセプションズ

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